宣言、利己主義者になろうと思います。

59話目 ページ9

お客様の中に告白された経験のある方は？
・・・あっ(察し)オッケー。ごめん。

かく言う私もされたこともしたことも一切ない。

ぶっちゃけ魅力ゼロなのは知ってるしされたいともしたいとも思わないんですが

「ずっと前から好きなんです！付き合ってください！」

私だって心がないわけではない。普通に好意を寄せられたのは嬉しい限りなのだが

『えーっと・・・駄目かな。ごめんなさい』

相手方に頭を下げる。その相手とは

「私が女だから駄目なんですか」

女の子に告白されるとは一切考えてなかった。別に誰が誰を好きになろうが、同性だろうが異性だろうが関係はないと思う。

だけど私と彼女じゃ性的指向が違う。交わらない矢印はただの一方通行なだけなんだよな。

『そう、だね。貴女には辛い言葉になるけど、私は女性を好きにはならない』

苦手意識があるのも理由の一つだが。

「私が、男の子だったら・・」
『自分の性的嗜好を捻じ曲げちゃ駄目でしょ』

ぽろぽろと大粒の涙を流す女の子。私がその涙を拭いてあげられる権利はない。

ポケットからハンカチを取り出す

『それに、そんなことを言わせる私なんて付き合わないほうがいい』

彼女の手に握りこむ。はっとして顔を上げ、涙を流す。

『女でよかった。そう言えること付き合いな』
「っ、んな、そんな、子いな」
『いる。保証してやる』

手をぎゅうと握ってやれば、彼女はしゃくりを上げて呼吸を整えだす。

『貴女が私を好きになった事を私は否定しないから』

否定できるわけが無い。そうだろ。人間はみんな、自由があるんだから。人を好きになるのも、その一つだ。

「ふ、っ・・！うぇ・・」
『私には何もできないけど、せめて、貴女の次の出会いと、貴女の幸せを祈らせて』
「せん、ぱい・・！」

頭を撫でてやれば彼女の声は大きくなる。ここ校舎裏なんだが、野次馬とか来ないよな？来たらぶっ殺してやる。

「先輩」
『はいはい』
「お願いがあるんです」
『何かな』
「・・キスして、貰えませんか」
『私なんかにあげちゃ駄目だ。君が好きだと言ってくれる子にあげな』
「じゃあ」



「抱きしめて、くれませんか？」
『それなら』



手を広げると彼女は腕の中にすっぽりと収まる。涙で顔がぐちゃぐちゃになってしまったが、でも、誰かを好きになれるこの子は美しい。

「好きなんです、好きでした、好きだったんです」
『ありがとう』
「好きにならせてくれて、ありがとうございます」
『こちらこそ、好きになってくれてありがとね』







百合地雷な人がいたら本当にごめんなさい・・！

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