42話目 ページ42
『まぁ、一つに確定してしまえばどちらかには入れた。んだけど。』
コーヒーを一口。指を二本ずつ立て、右手は人差し指、左手は中指を下ろす。
『どちらもどちらか同じ時間で欠けてしまった。こっちは精神。向こうは身体』
kr「ほう」
『そして、余った身体と心は欠けたものを求めた』
そうして
『別世界の私は、こっちに引きずり込まれたんだよ。まぁ、私が手を貸したのもあるけどね』
kr「こっちの世界が貴方なら、そうやすやすと死ぬことはないはずだろ」
『私の繊細さなめんなよ』
kr「新しい一発ギャグ？」
『おうなら笑えよ』
白衣は笑いながらコーヒーをすする。
『死ぬ直前までは、私の記憶はなかった』
kr「それも不思議だ。前世がある人間は、記憶を第二次性徴期で大抵思い出すだろう。たとえ遅くても、だ」
『イレギュラーなんて既に起きてる。思い出せなかった可能性もあった。』
kr「でも思い出した。」
『精神が死ぬ直前にね』
kr「精神が死んだと言ってたね。なら、君はいないはずじゃないか」
『それがさ、死ぬ直前に記憶を思い出したじゃん。そして、まぁ、防衛本能とでも言おうか。現世と前世で精神が二つに分かれたんだよ』
kr「なるほど」
『二つに分かれて一つが消えた。身体を動かすには力が足りない。だから、向こうの世界の私を連れてきた。以上。質問は』
無い、と一言。ま、でしょうね。と二言。
制服の彼女は手を伸ばして砂糖を一つ、コーヒーに入れる。既に冷めきったそれに砂糖はとけきらない。
『苦いなぁ』
溢したその言葉は、珈琲ではなくて。
なら、何に？
疑問は白衣の口から出される。
『趣味悪いなぁ。分かってるくせに』
先程の饒舌な彼女とはうってかわり、今はうつむき、その表情を曇らせる。
『・・苦くて、苦しくて、辛くて、辛い。』
呻くような声。弱気な言葉。前世の彼女からも、同じような言葉を聞いたと白衣は追憶する。
kr「後悔、してる？」
『してないさ。私がしたことに後悔するつもりも、私がすることに不安を抱くつもりもない。だけど』
顔を上げた彼女は、見るものに痛みを覚える、胸を苦しくさせるほど、歪んだ笑いを浮かべる。
『私のせいで、この子が傷ついてしまったらなんて、身勝手かな。』
何も答えない。彼女の視線も、彼女の思いをおも知って受け止め理解した彼は、何も応じない。
彼は彼女の恩師でもなく、先生でもなく、保護者でもないから。
彼はただの、そして今尚唯一の旧友にすぎないから。
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ぽていとう - 世界一かっこいい骨の戦闘曲…だと…！？やっぱ神だよね⭐︎ (6月20日 20時) (
レス) @page7 id: c6d2a356b9 (このIDを非表示/違反報告)
ピラフ大好き - めっちゃかっこいいし面白いって神か？あっ！神だ（確信） (2020年11月29日 13時) (レス) id: 274814f204 (このIDを非表示/違反報告)
#よにん。＠str48＆変人系カップル(プロフ) - niさんとの自己紹介爆笑ｗｗｗ面白かったです！ (2020年8月13日 2時) (レス) id: 024f1c0ff1 (このIDを非表示/違反報告)
モンテージ - カッコよき！ (2020年5月15日 0時) (レス) id: 17ee63c14d (このIDを非表示/違反報告)
パイ生地(プロフ) - 連投失礼。なんでこんな素晴らしい作品にもっと早く出会えなかったんだって口から出てました。 (2020年3月15日 3時) (レス) id: 41604f8360 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：碧月
| 作成日時：2020年1月10日 19時
