宣誓。陰キャを極めようと思います。

36話目 ページ36

初対面なのに話すの楽しいわ。

gr「世界史が好きといったな、好きなエピソードとかは？」
『んー・・世界史とは少しずれて哲学になるかもだけど、ソクラテスの話とかかな』
gr「ソクラテス、無知の知の話か」
『よく知ってんな』
gr「まぁな、俺も哲学は読む」

読んでそう。屋敷の陽のあたる部屋で窓辺に座って本を片手に読みながら紅茶飲んでそう。

『総統は何が好きなの？』
gr「グルッペンでいい。そうだな・・どちらかといえば悪役が好きかな」
『独裁者ね。ヒトラー、スターリン・・あとは、チャウシェスク？』
gr「落とし子か」

そこら辺しかわかんないな、私。知識の浅さがバレる。

『最後が悲惨だったやつね』
gr「どの独裁者も、最後が悲惨じゃなかったやつなんていないさ」
『たしかに』

因果応報と言ってしまえばそれまでだけど。

『・・私欲のために国を操った人間は、処罰されてしかるべきだけどさ。

本当に、本当に国のために働いて、結果独裁者と呼ばれた人間だっているわけじゃん』
gr「あぁ」
『それに、今は英雄と讃えられてたって、昔は独裁者と、身勝手だ、として裁かれた人間もいるでしょ』
gr「そうだな」
『・・・前者は本当に独裁者と呼べるのか。後者は本当に英雄と呼べたんだろうか。なんて、たまに考えるんだよね』

私には難しくてそれ以上の言葉は出ない。

だけどほら、前者の例を上げたとすれば、自分の民族を第一に考えた指導者は他の人間にとっては悪でも、民族にとっては善だったし。

後者は、今の生活を、家族を守ろうとしてる人間にとって先の見えない革命や行動に賭けろと言われても戸惑う人だっている。

終わりが良ければ全て良し。なんて、未来が本当によかったらの話だろう。

よかったら英雄、悪かったら独裁者。

それを決めるのは未来の人間でも、当時の人間でも、過去の人間でもない。

誰も決められなくて、だけど誰かが決めてしまう。

難しい。

gr「興味深い論題だ。議論してみるか？」
『そこまでの頭は持ってないよ。あと、議論するならもっと時間のあるときにやろうね』

議論したら楽しいだろうけど。

os「キョウカちゃんは、頭がええな」
『テストの順位見せようか？』
os「知識量やなくてな。頭の柔軟というか、回転が早い。それに、着眼点がええ」

褒められると思わんかったわありがとう。

tn「賢いって感じやな」
gr「知識を増やしてみろ。世界が変わって見えるぞ」
『哲学難しいんだよ』
gr「俺や図書室のエミさんが教えてやろうか」
『まじで』
os「俺も教えたるで」
『まじか』

友達増えちまったよ。やったね。

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