五曲目 〃 ページ9
城に戻った瞬間執務室に呼ばれる。
何か悪いことをしたかなと、考えながらノックをする。
返事が聞こえ、中にはいる
『失礼しま』
gr「お前、飛び降りそうになったらしいな」
耳が早い。不機嫌なのはそれが理由か。
『飛び降りてませんよ』
gr「当たり前だ。なんのためにお前を幹部から使用人にしたと思ってる」
『・・動きやすくするため?』
gr「違う。危険な事をさせないようにだ」
未だに過去を引き摺っているのだろう。私が危ないことをすればすぐ彼は心配する。
もうあんなヘマはしないのに。
『ご安心くださいませ。私は貴方の為しか危ないことはしませんよ』
gr「その殺し文句はどっから学ぶんだ。」
『鬱様ですね』
gr「大先生・・!!」
総統の耳が少し赤くなってる。可愛らしい方だな。
gr「・・本当に、無茶はしてくれるな。」
『安心してください。あのような思いは二度とさせませんよ』
いまからもう七年くらい前の出来事だ。
女幹部ということで侮られ、敵につかまって、拷問を受けて、救出されたのが一週間後。
私は記憶がおぼろけだが、国のトップ3はその時の私を鮮明に覚えているらしい。
長い髪の毛はざんばらに切られ、自分で言うのもなんだがたまの肌には多数の打撲痕。
そして、女という体を利用された。
記憶がおぼろげだが、救出された後の総統は記憶にある。
私に触れず、私の目の前に跪いてひたすら謝罪の言葉を吐き出す彼。
[グルッペン]
[ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい]
[ねぇ、私を見てや]
そんな彼を私は二度と見たくない。
あんな私を彼に二度と見せたくない。
『・・ねぇ、覚えてます?』
gr「何が?」
『貴方が謝り続けとき、私が言った一言』
gr「思い出させないでくれ・・・」
あのとき正常じゃなかった自分を恥じてるのか。彼は顔を隠す。
gr「・・覚えてるに決まってるだろ」
『ふふ』
思わず漏れる笑い。
私は机の前に立ち、手を出す。
『こういう事がこれからもある。どちらが地獄に落とされるか、または落ちるか分からない』
gr「その時は引っ張り上げないで」
『一緒に堕ちてください』
gr「そうしたら、亡者の叫び声をBGMに」
『炎の中でも、針山の上でも、鬼の前でも』
gr「『一緒に踊って頂けますか?』」
二人は見合わせて笑う。我ながら洒落た言葉だと思うが、彼はこの言葉を聞くたび爆笑する。失礼だな。
gr「お前となら何処へでも」
私の手を掴んで、彼はキスを落とす。
嬉しくむず痒い感情が、私を笑顔にする。
1発目 衝撃というには甘く、雷にしては鋭く(ut)→←四曲目 〃
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まうるもち - 好きです....文章が神.....いつの間にか読み終えていた不思議 (2019年10月7日 23時) (レス) id: a48c43d4d7 (このIDを非表示/違反報告)
碧月(プロフ) - 紫龍さん» 誤字ですごめんなさい!ご指摘ありがとうございます! (2019年10月3日 6時) (レス) id: 8ab1994adc (このIDを非表示/違反報告)
紫龍 - 碧月さん» 失礼します…knさんの2条目『後者裏』って『校舎裏』の事ですか?誤字とかじゃなかったらすみません!! (2019年10月2日 23時) (レス) id: ed1de518a2 (このIDを非表示/違反報告)
碧月(プロフ) - アルムさん» ご指摘ありがとうございます! (2019年9月29日 9時) (レス) id: 8ab1994adc (このIDを非表示/違反報告)
アルム(プロフ) - コメント失礼します!碧月さんの作った小説はやっぱ神ですね!途中で気づきましたがemさんの小説の六限目の20行目の「…そらは愛おしさへと…」は「…それは愛おしさへと…」じゃないでしょうか?間違ってたらすみません!更新楽しみにしています。 (2019年9月29日 8時) (レス) id: 9866a4ca3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:碧月 | 作成日時:2019年9月17日 6時