六課目 〃 ページ33
シャオロンに抱きかかえれ、グルッペンという人間の家という所に連れられる。
中に入り、天井のない箱のような場所に入れられる。溢れているのは海水だ。
gr「一応海水くんできたんだが」
『あ、ありが、とう』
gr「ん」
暫くそこにいてくれ、とシャオロンと私に言いつけて彼はどこかに消えてしまう。
変な空気が二人の間に流れ、とどまる。久しぶりの再会だから何を話していいかわからない。
sha「・・大丈夫か？」
シャオロンは大きな手で私の頭を撫でる。
『うん』
sha「あの辺はもうだめやな。危ない」
『・・うん』
ぎゅう、とシャオロンの袖をつかむ。
『・・シャオ、ロン。あのさ』
sha「うん」
『私達もう、会えない』
sha「・・うん」
覚悟していたのか、分かっていたのか、それとも、私のようにダメージを食らってないのか。彼は変わらずに頭を撫でている。
『本当は人にあったら逃げなきゃいけなかったのに。あのとき、あの夜、逃げられたのに』
海中に響いたシャオロンの声が、あまりにも美しくて。あの時から心は掴まれて。
sha「キョウカは、俺とあったこと後悔してるん？」
『してない！』
できる事なら時が止まればいいと、あの楽しかった時間に戻ればいいと、愚かなことを考えてしまう。
だけど私を知られてしまえば、人魚の存在が露見する。それだけはなんとしても避けなければいけない。
sha「やけど、もう、会えないんやな。」
『・・っ、あ』
彼の瞳が海に浮かぶ月のように、ゆれる。眉が下がり、口が歪む。
『あ、え・・あい、さよなら、したくない』
sha「俺、二度と会えへんと思ってたん。やから、もう、二度と離したくないなぁ」
シャオロンは頭においてある手を頬に添え、顔を近づける。私はそれがなんだか知ってるかのように、自然と目を閉じる。
gr「二人とも別れに浸ってるところ悪いが」
雰囲気ぶち壊しの声に私達は弾けたように顔を上げる。シャオロンはグルッペンを睨む。
gr「人魚一人くらいなら、余裕で隠せるぞ」
sha「は？」
『あ？』
グルッペンは手に持っている四角い板を耳に当てる。
gr「俺だ。前話した海付きの家あるな？それを買いたい。そう。露天風呂付きの」
しばらく話し込んだあと、板から耳を離す。ついていけなくてシャオロンを見ると、あんぐりと口を開けてグルッペンをガン見してる。
視線を受けた彼は、にやりと笑い部屋から出ていく。
sha「頭上がらんよほんま」
シャオロンはため息をついて、私に視線をうつす
そして
sha「レッスンはまだ終わらへんな」
幸せそうに微笑むのだ。
終わり
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まうるもち - 好きです....文章が神.....いつの間にか読み終えていた不思議 (2019年10月7日 23時) (
レス) id: a48c43d4d7 (このIDを非表示/違反報告)
碧月(プロフ) - 紫龍さん» 誤字ですごめんなさい！ご指摘ありがとうございます！ (2019年10月3日 6時) (レス) id: 8ab1994adc (このIDを非表示/違反報告)
紫龍 - 碧月さん» 失礼します…knさんの2条目『後者裏』って『校舎裏』の事ですか？誤字とかじゃなかったらすみません！！ (2019年10月2日 23時) (レス) id: ed1de518a2 (このIDを非表示/違反報告)
碧月(プロフ) - アルムさん» ご指摘ありがとうございます！ (2019年9月29日 9時) (レス) id: 8ab1994adc (このIDを非表示/違反報告)
アルム(プロフ) - コメント失礼します！碧月さんの作った小説はやっぱ神ですね！途中で気づきましたがemさんの小説の六限目の２０行目の「…そらは愛おしさへと…」は「…それは愛おしさへと…」じゃないでしょうか？間違ってたらすみません！更新楽しみにしています。 (2019年9月29日 8時) (レス) id: 9866a4ca3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：碧月
| 作成日時：2019年9月17日 6時
