五課目 〃 ページ32
『・・・』
深海よりも深く、息苦しい。手を伸ばせばすぐに透明な板についてしまう。狭い世界だ。
「次はこっちだ！」
「わかった！」
聞きたくない。見たくない。気持ち悪い。人間とはこんなにも醜悪なものだったのか。
『・・元気かなぁ』
まぶたの裏に浮かぶ太陽のような人。初めて触れたとき、人間ってあんなに温かいなんて思わなくて。
水が動く。なんでもこの透明な硬いものはガラスで、水槽というらしくて、ガラガラなってるのは車輪で、私は今から
『まぶし』
人間に、売られる、らしい。
広がる世界は、こんなにも醜い。こんなにも、酷い。よくわからない言葉が私に刺さる。
聞きたくない音に耳をふさぐ。見たくない光景に目をつぶる。
彼の声を聞きたいなぁ。最後に聞いたのはいつだったか。
彼に会いたいなぁ。最後にあったのは、あの日か。
『シャオ、ロン』
海から見た太陽のように、私を照らしてくれた。眩く、眩しく、焦がれた。
人に焦がれた人魚姫は、声と命を失った。
太陽に焦がれた私は、何を失うのだろう。
『シャオロン、シャオ、ロン・・！！』
何を失ってもいいから、もう一度だけ
『会わせて・・』
sha「キョウカ」
声が聞こえた気がした。彼がいる、気がした。
幻覚か？幻聴か？幻想か？
sha「キョウカ」
外からの衝撃で、水が揺れる。
sha「さっさと目ぇ開けろや。何ビビってん」
いやだ。いやだ。だって開けてしまえば、全て散ってしまう。幻でもいいから、まだ浸らせて
じゃぼん
大きく水が揺れ、溢れだす。揺れる衝撃に、思わず目を開けると
『しゃ、お、ろ、ん』
意地悪く、優しく微笑む。彼は私の頬を撫でる。あぁよかったと、声は聞こえなかったがそういった気がする。
上を指差し、私を抱える。浮上するのかと思い頷く。
sha「ぷっはぁっ！！」
ぜぇぜぇと肩で息をする。人には苦しかったか。
『シャオロン』
sha「お前！なんで俺以外のやつに捕まってん！！人魚なのに鈍くさいなぁおい！」
『人魚関係ない・・』
水槽の縁に腰掛け、シャオロンは息を整える。
『どうやってここに来たの？』
sha「俺の知り合いにやべぇやつがいてな」
gr「ほう。恩人に向かってそんな口を叩くのか。」
シャオロンの顔が青くなる。後ろ下の声に振り返ると、知らない人間が。
gr「はじめまして」
『は、はじ・・』
sha「ちょっと、グルッペン顔怖いんやから脅かさないでくれへん？」
gr「本当に美しいな。大先生には見せられん」
sha「会わせる予定ないわ」
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まうるもち - 好きです....文章が神.....いつの間にか読み終えていた不思議 (2019年10月7日 23時) (
レス) id: a48c43d4d7 (このIDを非表示/違反報告)
碧月(プロフ) - 紫龍さん» 誤字ですごめんなさい！ご指摘ありがとうございます！ (2019年10月3日 6時) (レス) id: 8ab1994adc (このIDを非表示/違反報告)
紫龍 - 碧月さん» 失礼します…knさんの2条目『後者裏』って『校舎裏』の事ですか？誤字とかじゃなかったらすみません！！ (2019年10月2日 23時) (レス) id: ed1de518a2 (このIDを非表示/違反報告)
碧月(プロフ) - アルムさん» ご指摘ありがとうございます！ (2019年9月29日 9時) (レス) id: 8ab1994adc (このIDを非表示/違反報告)
アルム(プロフ) - コメント失礼します！碧月さんの作った小説はやっぱ神ですね！途中で気づきましたがemさんの小説の六限目の２０行目の「…そらは愛おしさへと…」は「…それは愛おしさへと…」じゃないでしょうか？間違ってたらすみません！更新楽しみにしています。 (2019年9月29日 8時) (レス) id: 9866a4ca3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：碧月
| 作成日時：2019年9月17日 6時
