二条目 〃 ページ27
〜kn〜
放課後。閑静とした教室。俺は頬杖をつき校舎裏を覗く。
視界には二人の男女。告白するには最高のシチュエーション。男は顔の造形がよく、確か学校でイケメンと持て囃されていた、気がするわ。
女の方はこれまた色んな意味で有名な俺の幼馴染。
男が頭を下げ、女はそれに一瞥し、口を開く。男が後ずさる様子を考えて、また断ったんか。
呆然としている男を横目に、彼女は校舎内に入ってくる。俺はまるで見てませんよと言い訳をするように、机の中の本を読み出す。
がらりと何事もなかったかのように扉を開く彼女へ、俺は視線を転じ、声をかける。
『ん』
俺は自分の荷物と彼女の鞄を持ち、入り口に向かう。
感謝を述べる彼女へいつものように確認から入る。
kn「なんや、また振ってきたん？」
『そうだよ』
予想通りの言葉に胸を撫で下ろし、俺はからかうように笑う。
『告られる身にもなってほしい』
kn「お、モテ自慢か？」
『お前も似たようなもんだろ』
せやな！と笑えばそれに腹を立てたのか俺の脛を蹴ってくる。普通に痛いんやけど！
kn「なにすんねん！」
『さて、帰ろうか』
聞いての通り、見ての通り、俺の幼馴染は恋愛事に対して興味がない。なのに生まれつきの美貌のせいで、引く手数多だ。そのせいか、最近異性との交流を避けている。
幼馴染の俺以外。
『恋だの愛だのなんなんだか』
kn「お前には分からんやろうな」
『なに、あんたにはわかるの？』
頷く。だって俺、お前のこと好きやもん。
kn「そらお前よりは」
すると彼女は信じられないといった表情を見せる。俺のことなんやと思っとるん。
kn「なんやその顔、失礼やな」
『失礼』
興味ないんやろと聞けば、いつものように肯定される。
世間一般では不思議がられる、そんな世間を彼女は謎だという。
だがそれは、俺にとって都合がいい。
だってそのままでおれば、お前はずっと、誰のものにもならんのやろ。
俺の物にならんくても、俺の隣にはいてくれる。それだけで充分だ。
他人を好きになる意味がわからないという彼女を、俺は肯定する。
kn「ええやんけ、お前はそれで。お前らしくて」
その言葉に、彼女は控えめに、だが確実に嬉しそうに笑う。
『変わってるなぁ、本当』
kn「変わってるお前に丁度ええやろ」
夜の闇に溶け込む、寂しげな笑顔。この世界は彼女にとって生きづらいだろう。
だが、俺はお前にとって重荷であり不可解であるこの感情を向けてしまう。
絶対に打ち明けんから、まだ隣りに居させてな。
一課目 海と歌と地と声（sha）→←一条目 一方通行（kn）
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まうるもち - 好きです....文章が神.....いつの間にか読み終えていた不思議 (2019年10月7日 23時) (
レス) id: a48c43d4d7 (このIDを非表示/違反報告)
碧月(プロフ) - 紫龍さん» 誤字ですごめんなさい！ご指摘ありがとうございます！ (2019年10月3日 6時) (レス) id: 8ab1994adc (このIDを非表示/違反報告)
紫龍 - 碧月さん» 失礼します…knさんの2条目『後者裏』って『校舎裏』の事ですか？誤字とかじゃなかったらすみません！！ (2019年10月2日 23時) (レス) id: ed1de518a2 (このIDを非表示/違反報告)
碧月(プロフ) - アルムさん» ご指摘ありがとうございます！ (2019年9月29日 9時) (レス) id: 8ab1994adc (このIDを非表示/違反報告)
アルム(プロフ) - コメント失礼します！碧月さんの作った小説はやっぱ神ですね！途中で気づきましたがemさんの小説の六限目の２０行目の「…そらは愛おしさへと…」は「…それは愛おしさへと…」じゃないでしょうか？間違ってたらすみません！更新楽しみにしています。 (2019年9月29日 8時) (レス) id: 9866a4ca3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：碧月
| 作成日時：2019年9月17日 6時
