六限目 〃 ページ25
zm「この際やから、白黒はっきりさせたほうがええんちゃう？」
em「え！？」
『賛成！』
今のこの機会、逃したら二度と訪れない。ならこのチャンス、掴むしかない。
先生の前に立ち、先生と目を合わせる。
まずは少し、私のことを話そうか。
『・・私は、ずっとずっと人を好きになったことがありませんでした』
家庭環境なのか、私自身の性質なのか、それは定かじゃない。
『他人と身体を重ねても感じるのは虚無でした。』
愛を囁かれても、虚しくなるばかりで、悲しくなった。
『でも』
先生を一目見て、話して、私は初めてこの感情を手に入れた。教えて、くれた。
『先生に会えて、本当に良かった。』
感謝の意を込めて、この言葉を伝えよう。
『先生、好きです』
言葉は届いた。想いも、届いたかな。
em「・・貴方は、俺のどこが、いいんですか」
『全部ですけど』
em「・・・」
先生の嫌いなところなんてない。あっても、それは愛おしさへと変化する。
『全部です。全部好きなんです。どうしょうもないくらい、どうも出来ないくらい』
先生は私から目を逸らさず、それでいて何かを考え込むように、瞳の中の渦がうごめく。
em「・・私は先生で、あなたは生徒で、成人していて、未成年ということはわかってますか？」
『童貞で非処女なことも分かってますよ』
em「そこはいらん！」
その理由で断ってほしくないな。
『先生、それは』
em「だから」
私の言葉にかぶせるよう、先生の薄い唇が動く。
em「もし、もしですよ。もし貴方が、成人して、それで、卒業して、それでも、それ、でも・・」
『私はそんなことが聞きたいわけじゃない』
そんな遠回しな約束は嫌だ。あと何年あると思ってる。
『その前に、言うことがあるんじゃないんですか』
じぃと見つめる目が、彼の瞳が揺れ動く。
em「・・わ」
一言しか発してないのに、彼の白い肌が桃色へ変化する。
em「わ、私も、好き、です」
『〜〜〜っ！！』
歓喜のあまり思わず抱きつくと、彼はしどろもどろになるが、おずおずと背中に手を回してくれる。
em「だ、だけど！正式なお付き合いは」
『卒業後ですよね！わかってますよ！』
この瞬間だけは許してほしい。自分で自分を止められない。
em「・・ほんま、酔狂な人ですね。俺を好きになるなんて」
『んふふ、私の目に狂いはありませんよ』
今ではデートもキスもそれ以上もしてくれないのだろう。いいよ、そんなん我慢してやる。
『我慢したら、この可愛い生徒にご褒美をくださいね』
em「えぇ、それはもちろん」
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まうるもち - 好きです....文章が神.....いつの間にか読み終えていた不思議 (2019年10月7日 23時) (
レス) id: a48c43d4d7 (このIDを非表示/違反報告)
碧月(プロフ) - 紫龍さん» 誤字ですごめんなさい！ご指摘ありがとうございます！ (2019年10月3日 6時) (レス) id: 8ab1994adc (このIDを非表示/違反報告)
紫龍 - 碧月さん» 失礼します…knさんの2条目『後者裏』って『校舎裏』の事ですか？誤字とかじゃなかったらすみません！！ (2019年10月2日 23時) (レス) id: ed1de518a2 (このIDを非表示/違反報告)
碧月(プロフ) - アルムさん» ご指摘ありがとうございます！ (2019年9月29日 9時) (レス) id: 8ab1994adc (このIDを非表示/違反報告)
アルム(プロフ) - コメント失礼します！碧月さんの作った小説はやっぱ神ですね！途中で気づきましたがemさんの小説の六限目の２０行目の「…そらは愛おしさへと…」は「…それは愛おしさへと…」じゃないでしょうか？間違ってたらすみません！更新楽しみにしています。 (2019年9月29日 8時) (レス) id: 9866a4ca3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：碧月
| 作成日時：2019年9月17日 6時
