この国の主役じゃないんで壊しますね

20件目 仲裁できる人材 ページ21

時は戻って今現在。どちらも互いに共に引く気はなく、いたいけ少女の胸ぐらを掴んでる彼は瞳孔ガン開きになっている。

ut「ちょ、待って待って待って！」

私らの間に入り込み、グルッペンの手を離しつつ私の身を引かせる大先生。

ut「なんの話しとんのかわからんけど、落ち着いて！ここにおったら僕がいなくなったことバレて追手が来るで」

一理あるその言葉に、取り敢えずグルッペンから視線を外す。

『・・はぁ。少し行った先のところに宿取ってあるからそこ行こう。まずは寝たい』

今日は本当にもう疲れた。寝る。


〜〜うっつんサイド〜〜

宿屋に入り、銀の髪を持つ少女はすぐに寝床に入った。

ut「久しぶりやね、グルちゃん」
gr「あぁ」

旧友に出会えて俺は嬉しいが、彼はなにやら難しい顔をしてる。

あの少女に掴みかかった件で気を揉んでるのだろうか。俺には見当がつかない。

ut「なんや、僕に会えて嬉しくないん？
gr「いや、大変嬉しい」

思わぬデレに聞いたこっちが恥ずかしくなる。それを隠そうとパクってきた煙管に手をかけるが

gr「駄目だ」
ut「は？なんで？」

嫌煙者ではなかったと思うが。が、彼の視線でピンときた。

ut「せやなぁ。成長期の女の子前でこれはいかんな」
gr「ニヤニヤするなきっしょ」

相変わらずの口ぶりで安心したわ。煙管はおいて、両手を後ろの床につける。

ut「あの子なんなん？グルちゃんのコレいだいただだだ！折れる折れる！！」

揶揄おうと小指を立てた瞬間に曲がってはいけない方向に曲げようとする。待ってそれはあかんて。

gr「軽口は相変わらずでなにより」
ut「再会そうそう怪我するかと思ったわ・・」

まだ痛む小指に息を吹きかける。普通に痛いわ。

gr「・・あいつは、連合国のトップを努めた国の王女だ」
ut「え！？」

俺の大声に彼女は身じろぎをする。慌てて口を抑える。寝返りを打っただけで起きてはないらしい。良かったわ。

ut「・・まじで？」
gr「まじで」

こんな時に嘘を言う男じゃないことは承知している。

では何故？

gr「あいつは自国を壊したい。俺は自分の国を再建したい。利害が一致し、今に至る」
ut「ちょっと何言ってるかよくわからん」

俺の頭じゃ理解できひん。

gr「俺もよく分かってない。だが、まぁその言葉に嘘はない」
ut「ほぉーん」

グルッペンがそういうのならそうなのだろう。五年前と同じように、俺は彼についていくだけだ。

ut「ま、取り敢えず無事でよかったわ」
gr「この調子で他のやつも集めるぞ」
ut「了解」

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