18刧 形と勢が逆に転がる。 ページ18
私の袖の中から滑り落ちたのは、試験管サイズのガラス棒。衝撃に弱く、太ももの高さから落としても割れる。
軽い破壊音が二人の観察から警戒を一気に高める。だが、2つが切り替わる瞬間のタイムラグ、一瞬の空き、狙わないわけねぇよな。
ut「ぇ」
『もう少し警戒したら』
いっきに後ろに、鬱にぶつかるくらいの勢いで床を蹴る。右肩に鬱の右腕を乗せる。右手と腕を両手でつかむ。やっぱりお前、銃右手に持ってたな。
私が意味なく頭を動かすわけ無いだろ。銃口の位置でどっちに持ってるからを判別するためだよ。
ut「っ、え？」
ほぼ腕力と体の使い方だけで、前回りの要領で思いっきり背負投をぶちかます。痛みで離した銃を空中で掴む。鬱の肺あたりを強く踏み、エーミールに銃口を向ける。
『・・・へぇ』
微動だにしないか。肝が座ってんな。
『まさか、もう一人仲間がいるってことはないよな』
em「さぁ、後ろに気をつけてみては」
『いねぇな？』
いたら今頃ぶん殴られてる。それに、エーミールは応戦せず、鬱はやり返さず諦めたように床に寝そべる。つまり
『お前ら武闘派ではないんだな』
em「大先生大丈夫ですか」
ut「まじ女子力ってやばいな」
さて、形勢逆転だな。
『私の要求はただ一つ。今すぐここから出てけ』
エーミールは片眉を上げる。
em「愛加さんに近寄るな、とかではなく？」
『んなことお前らに言っても無駄だろ』
簡単な要求のほうが通るし早い。
『それとも、弾が本当に入ってるかどうかてめぇの目玉で確認してやろうか』
撃つのに躊躇？するわけない。弾があろうとなかろうと、銃身で殴ればいいの話だ。
ut「・・・流石に無理やな」
em「そう、ですね」
引き際がいいな。足を退かすと、鬱は立ち上がり、エーミールはゆっくりと鬱の近くに行く。
ut「なぁ、キョウカちゃん」
『あんだよ』
ut「ええの？」
その言葉には私に対する同情が含まれてる。首を傾げ、何がと続きを促す。
ut「シャオちゃんから奪って、グルちゃんの威圧を抜けて、チーノを追っ払って、ゾムから逃げて、ロボロを無視して、んで今、俺らの交渉を蹴った」
鬱は気味の悪い笑顔を浮かべる。
ut「もう一度聞くわ。ええの？この機会を逃したらもう、優しくできへんで」
『いつお前らが優しくしたよ』
em「怪我をしてないのが証拠でしょう？」
つまり手加減されてたと。
『早よ出てけ。それとも』
銃を動かすと、エーミールも鬱も入り口へ向かう。
ut「あ、一つ聞いてええ？」
『あん？』
ut「愛加はあんたに、なんて頼んだん」
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よのや(プロフ) - 夢主さんが好きすぎる。ヒーローでもヴィランでもない人間的な考え方というかなんというか…これからな展開が気になります！更新お待ちしてます！ (2023年1月9日 13時) (
レス) @page29 id: 4e9073c5b7 (このIDを非表示/違反報告)
アルム*(プロフ) - 更新ありがとうございます…！いつも楽しく拝見しております✨最近は占ツクをあまり見ていないこともあったのですが、碧月さんの作品を見て元気をもらいました。更新、気長に楽しみにしています(*^^*) (2021年10月17日 9時) (レス) id: 5d7012fd88 (このIDを非表示/違反報告)
雑食 - 主人公のはっちゃけた感じがたまらん！！ (2021年5月30日 12時) (レス) id: 065cb097ab (このIDを非表示/違反報告)
aimi - あなたの小説見ました。とても面白くて良かったです。視点が第三者ということもあり、あまり少ないジャンルなので楽しめました。 (2021年4月2日 22時) (レス) id: 065cb097ab (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 愛加ちゃんがめっちゃ優しいことだけはわかっただってやばいことされても断る時【タイプじゃないので】って優しすぎ！てか主さん名言製造機ですか？グッと来ました特に足は踏みだした手は動いたのところ好きですこれからも頑張ってください】 (2021年3月26日 10時) (レス) id: 409dd9da63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：碧月
| 作成日時：2020年9月25日 10時
