甘さ控えめに【橙】 (ページ10)

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家が近いのもあって今私の部屋に海斗くんがいる。

そして、シャワーを浴びてる。

……まって、まって、どうしよう。

「Aちゃん、シャワーありがとう」

『い、いえ！とんでもない…』

「これ折角洗ってくれたのにごめんね」

心の準備が整わないまま海斗くんはシャワーから元ってきて、返した洋服をそのまま着てる。

……まって、落ち着いて、わたし。

「Aちゃんあのさ、」

『うん？』

前髪が顔にかかっててよく表情が読めない

今、何を思ってるの？

ソファに座ってた私の隣に海斗くんも腰掛けて近付く距離

「俺ねAちゃんがずっとそばに居て欲しい」

『え？どういう、』

「俺の恋人になって」

急な展開すぎて頭が追いつかない

それと同時に、心臓が変な音を立ててる

ドキドキとかそんなんじゃなくて早い鼓動を立て、今にも潰れてしまいそう。

ソファに置いてた手が重なりそのまま引き寄せられる。あと数センチ動いてしまえば触れちゃうほど。

『ちょ、まって、え、私たち出会ってまだそんな経ってないし、』

「知ってる。でも、惚れてんのAちゃんに」

『それは私もだけど……あ、』

「俺はAちゃんの彼氏になりたい」

「彼女になってくれる？」

ずるい、ズルすぎる。

海斗くんはずるい。

真剣な眼差しでそんなことを言われちゃったら、なにも考えられない。

うん、って言葉を出す代わりに力なく頷け花が咲いたように笑い温もりに包まれた。

シャンプーの匂いに混ざった海斗くんの匂い。

人に抱きしめられたのなんて初めてだから、

こんなに好きになった人も初めてだから、

海斗くんの温もりを大切にしてたい。

『死にそう、恥ずかしくて、』

「好きだよAちゃん」

『私も、好きです、』

海斗くんのことをもっと知れたら、

知っていけたらいいな。

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