甘さ控えめに【橙】 (ページ16)

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月日が流れるのは早いもので

あっという間に1ヶ月が経とうとしていた。

手も繋いでない、

キス…とか、何もしてない。

そんなことを職場の仲のいい同期に話してみれば、引いた顔つきで「ヤバいよ、それ」だなんて言われる始末。

ただでさえ、海斗くんが本当に私の事好きなのか不安で堪らないのに、そんな風に言われてしまえば尚更不安になってしまう。

重たいよな、わたし。

すぐ不安になって、気持ちを確かめたくなる。

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『……海斗くん、私さ、』

掴まれた袖口を離して、

顔を見られたくないから下を向いたまま名前を呼ぶ。

『デート出来なくてもいいから、こうして一緒にいる時くらいは手を繋ぎたい。』

ワガママ、かな、

でもね、手ぐらいは繋ぎたい。

海斗くんの温もりを肌で感じたいの。

「俺もね、それを伝えたくて今日会いに来たの」

『そう、なの？』

「うん、不安にさせてごめんね」

手、貸して？って、

海斗くんの左手に自分のを重ねると恋人繋ぎに変わって、そのまま彼のコートの中に。

彼の手は少し大きくて温かい。それだけで、さっきまでの不安だった気持ちが消え去っていく。

少しでも嫌われたくないから、

本当の気持ちなんて言えなくて、

全てのことを正直に言えなかった。

「Aちゃん何でも言ってね、甘えていいからね」

『…なんでも言っていいの？』

まだ全てを言える程の勇気はない

嫌われる勇気なんて、全く無いの。

夜だし周りに人もあまりいない。

表情だって、あまり読めないだろう

『海斗くんが好き。大好きです。』

「俺もだよ、俺も好き。Aちゃんが大好き」

不安だけどそれ以上に海斗くんが好き

その気持ちだけはずっと伝えていきたい。

ポケットの中にある手に力がこもる。

私も同じように彼の手を握り返した。

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