#44 ページ46
「⋯」
気のせいだろうか足音が私以外にもう一人居る気がする
時間も時間だし誰かが居てもおかしくはないんだけどここは人通り少ないし誰かとすれ違うなんて滅多にない
それに、足音が一定の速度で距離を保ってる
まるでつけられてるかの様な⋯勘違いだったら申し訳ないし断定出来ないけど。
ちょっと遠回りになっちゃうけど細道通って行こうかな
細道出ればある程度人通りには出れると思うしその方が安全かな
「Aちゃん」
時が止まったかの様な錯覚に陥った
ついこの間、四谷傀團のアジトとしてるバッティングセンターで見た、聞いた⋯狂気の含むあの顔とあの声が瞬時に脳裏に浮かんだ
自分の鼓動が耳に響き冷や汗で手が馴染み、買い物袋の持ち手に力を入れればカサッと音に意識を戻して後ろを勢いよく振り向く
「な、なんで居るの⋯」
「Aちゃんに会いたくなってさ？」
明日、壱番隊と抗争する四谷傀團の副総長が何でこんなところに⋯！
薄らと笑みを浮かばせコテンと首を傾げるその目に、やばいと警鐘が鳴れば足が動く方が早く、小次楼から逃げる様に細道に入り、ここからどう撒いて家に辿り着くか考えるけど家を特定されるのはまずい
それなら撒いて落ち着いてから帰れば良い大丈夫だろうか⋯！
細道を走って来たものの足音は自分の分しか聞こえない
後ろを向くとどうやら追いかけては来ないらしい
走ってた足を緩め、肩で息をする
細道を抜けて曲がり角を曲がれば人通りも多い
何しに来たのか分からないけど一刻も早く家に帰りたい
「ふぅー⋯」
深呼吸して乱れた呼吸を整え、再び歩き出そうと足を一歩踏み出せば
細道の先に四谷傀團の連中が二、三人程待ち伏せされていた
「⋯ッ」
「逃げても無駄ってこと、大人しくしててくれよ〜？」
「大事な大事な場地圭介殺されたくないだろ？」
薄らと笑う四谷の奴らに寒気がした
なるほどね、私を囮にして東卍を負かそうと言う魂胆だ
「申し訳ないけど私は囮になんかならないし、喧嘩なんだから正々堂々としたら？拳で語るのが喧嘩でしょ⋯⋯東卍に負けるのが怖いんだ？」
「何言っちゃってんだゴラァ！！」
図星でしょと言えば目の前の男は怒りを露わに胸倉を掴もうと手を伸ばしてきたから、買い物袋を片手に構える
「⋯やめとけ」
「ッ！？」
後ろからお腹に手を回され抱き寄せられ、耳元で制止の声を上げたのは小次楼だった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 44人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：たまりんこ | 作成日時：2023年3月5日 2時
