揺れる一輪の花 (ページ36)

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あの後も目に入った不良達に四谷傀團のことを聞こうと名前を出すも、皆が皆泡食って逃げて行ってしまい話にならない
そうしてるうちに日はすっかり暮れてしまい近くに建ってる街灯が暗い夜道を照らしていった

「四谷傀團⋯あぁ知ってるよ」

「え！」

セミロングの髪の長さで金髪に緑のメッシュが入ったワイシャツ着た学生にダメ元で聞けばどうやら知ってるらしい

「そこのバッティングセンターが溜まり場になってる」

指を刺す方向にはバッティングセンターがあり営業してるのか分からないほどの電光の暗さだった

「マジか！サンキュー！」

「ど⋯どうする？あっちの二人も呼んで合流するか？」

「いや⋯オマエは⋯」

吉田くん別方向を探しに行ってる二人を呼ぶか聞いてるところ見ていたら四谷傀團を知ってると言う男の子に肩をポンポンと叩かれる

「？」

呼ばれて振り向けば思った以上に距離が近くて彼がつけてる香水の香りが鼻腔を刺激する

「可愛いね」

後頭部を右手で撫でられ異常な距離感に身を引こうと足を一歩下げれば撫でられてた手が腰へと移動し更に距離を縮めてくる

「な、なに⋯っ」

隈が深いその目に見つめられ居心地が悪くて視線を外す

「ふふ⋯オレも一緒に行くよ」

「え？」

「ッ！？千冬！吉田くん！！」

左手がゴソゴソしたかと思えば、目の前の千冬が振り向いたと同時に何かがバチバチッと音を立てた
その手に持ってるのがスタンガンだと気付いた時には千冬と吉田くんは倒れてしまった

「な、何してんの！？」

「酷いことされたくなかったら黙って着いておいで」

「⋯ッ」

どこかに電話したかと思えば男二人が来て、気絶してる千冬と吉田くんを担いでバッティングセンターの中に入ってしまった

圭介に連絡取りたいけど携帯を取る余裕さえ見せてくれないだろう⋯仕方ないからここは大人しく着いて行くしかない
きっとこの人なら龍星くんのこと知ってるはずだろうし⋯。