一目惚れ 33 ページ35
「あー…、返事返さなくてごめんね。俺、手紙とかもらったことないから、どう返事したらいいかわかんなくって。顔もよく知らなかったし」
まずその手紙がさ、鞄の奥底で丸まって眠ってるっつーのは内緒ね。
「その、俺のこと好きでいてくれてるんだっけ？ 気持ちはとても嬉しいんだけど、本当、ごめんね。実は俺好きな子がいて……」
「え……」
「だから、君とは付き合えないんだ。ごめん」
定番の台詞を吐きつくした俺は気づかれないように息をつく。どれだけ気を使っても結局振ることにかわりはないのだし、案の定、彼女は涙を目に浮かべて俯いてしまった。
そうですか、と小さく悲しそうに言って立ち去る。それが俺の想像だったのだけど
「キス、してくれませんか」
「は？」
あまりにも想像違いな台詞に素で聞き返してしまった。
「キスしてくれたら、諦めます！ お願いです、せめて思い出に……！」
普通にヤダなんだけど。なんで俺があんたの思い出作りに協力しなくちゃなんないの？
と、激しい剣幕で迫る彼女にドン引きしたけれど、あっさりと言われたとおりに彼女の唇を自分ので塞いでいた。重ねるだけで、すぐに離したけれど。
「これでいい？」
一瞬のキスだったけれど彼女の望んでいたキスだ。後腐れのなければそれでいい。彼女だって顔を真っ赤にして、ありがとうございます、と震える声で言ってくれた。満足したのだろう。
小走りで去っていく彼女の後ろ姿を見届けながら、シャツで口を拭う。彼女がつけていたグロスが唇についていて、気持ち悪かった。
ーーガタ。
不意に音がして反射的にそちらに目を向ける。本棚を挟んだ向こうに誰かがいる。もしかして、さっきのやり取りを見られていた？
誰に見られてもどうでもよかったけれど、覗きなんて悪趣味だ。覗き魔の顔を拝んでやろうと回り込んだ。
どうせそこにいるのは野次馬だろうと思っていたが、それは俺のよく知る人物で。
誰に見られてもいいなんて、嘘だ。こんな場面なんて見られて欲しくなかった。
俺は、あ、と開けた口を塞ぐことはなく緩慢な動きでその人物の名前を口にする。
「……赤、司」
ああ、どうしてこんな……。
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み〜ちゃむ(プロフ) - 九さん» ウワアアアア！頭に血が上りながらも待ってましたwwwwでも待ってた甲斐が有りますねwww面白いです！！ (2015年8月24日 10時) (
レス) id: b3ef065543 (このIDを非表示/違反報告)
九(プロフ) - やさし(くありた)い人間←さん» やさし(くありた)い人間様、コメントありがとうございます！俺得なんて言っていただけて嬉しいです！これからも是非よろしくお願いします！ (2015年8月24日 1時) (レス) id: 0d9ac45806 (このIDを非表示/違反報告)
九(プロフ) - ハクさん» ハク様、コメントありがとうございます！ 赤司受けいいですよね！私も好きです！主の性格がどんどん病的に捻じ曲がっていくんですが、生暖かい目で見守ってください…！ (2015年8月24日 1時) (レス) id: 0d9ac45806 (このIDを非表示/違反報告)
九(プロフ) - もちてんぐさん» もちてんぐ様、コメントありがとうございます！ ドキドキですか、ドキドキしていただけて光栄です！私もコメント頂けて嬉しくってドキドキしてます…。更新頑張りますっ！ (2015年8月24日 1時) (レス) id: 0d9ac45806 (このIDを非表示/違反報告)
九(プロフ) - Ｒｕｉさん» Ｒｕｉ様、コメントありがとうございます！ 早く更新出来るよう色々と頑張ります！！ (2015年8月24日 1時) (レス) id: 0d9ac45806 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：九 | 作成日時：2014年7月22日 21時
