一目惚れ 21 ページ23
〜赤司side〜
緒方 Aは目立つ存在だった。成績が優秀だとか、飛び抜けた才能を持っているわけではなかったが、明るい性格と派手な容姿から常に彼は男女構わず囲まれていた。
と言っても、実際に緒方と話したこともなければ、クラスメートでもない。ただ、廊下をすれ違ったことがあるだけで、これから先も特に関わり合うことはないだろうと思っていた。
その頃、オレと青峰と紫原は一年でレギュラー入りを果たしており、全中に向けての練習が本格的に開始された。が、オレたちがレギュラー入りを果たしたおかげで、レギュラーに入ることが出来なかった先輩方から顰蹙を買うことが度々ある。とくに、二人と違い体格差のあるオレはかっこうの嫌がらせの的だった。
物が無くなる隠されるなどは日常茶飯事だったが、くだらないと思うぐらいで気に留める必要もない。
その日も性懲りもなく通りすがり様に、わざとらしくぶつかってきた。もちろん謝ることはなく、舌打ちを寄越しさっさと去っていった。と、その時──
「落ちたよ」
そう後ろから声を掛けられた。そこに居たのは棒付き飴を咥えた茶髪の派手な男子生徒。すぐにそいつがあの緒方だと分かった。
緒方は落ちた生徒手帳を拾い上げると、上級生の行った方向を見、顔をしかめた。
「ナニアレ、感じわっる」
やれやれといった調子で大袈裟に肩を下げる真似をする。ねぇ? と同意を促されたが、別にいつものことだし気にする必要はない。
礼だけを言い、緒方から生徒手帳を受け取った。
それが、緒方にとってつまらなかったのだろう。
柔らかに細められていた瞳は、一気に冷え切って。「ふぅん」と一瞥すると何も言わず横を過ぎていった。
一瞬だけだったが、あまりの冷たさに背筋が凍った。はじめてだった。あんな目で人に見られたのは。あの目は。そう、──『見下されている』。
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み〜ちゃむ(プロフ) - 九さん» ウワアアアア!頭に血が上りながらも待ってましたwwwwでも待ってた甲斐が有りますねwww面白いです!! (2015年8月24日 10時) (レス) id: b3ef065543 (このIDを非表示/違反報告)
九(プロフ) - やさし(くありた)い人間←さん» やさし(くありた)い人間様、コメントありがとうございます!俺得なんて言っていただけて嬉しいです!これからも是非よろしくお願いします! (2015年8月24日 1時) (レス) id: 0d9ac45806 (このIDを非表示/違反報告)
九(プロフ) - ハクさん» ハク様、コメントありがとうございます! 赤司受けいいですよね!私も好きです!主の性格がどんどん病的に捻じ曲がっていくんですが、生暖かい目で見守ってください…! (2015年8月24日 1時) (レス) id: 0d9ac45806 (このIDを非表示/違反報告)
九(プロフ) - もちてんぐさん» もちてんぐ様、コメントありがとうございます! ドキドキですか、ドキドキしていただけて光栄です!私もコメント頂けて嬉しくってドキドキしてます…。更新頑張りますっ! (2015年8月24日 1時) (レス) id: 0d9ac45806 (このIDを非表示/違反報告)
九(プロフ) - Ruiさん» Rui様、コメントありがとうございます! 早く更新出来るよう色々と頑張ります!! (2015年8月24日 1時) (レス) id: 0d9ac45806 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九 | 作成日時:2014年7月22日 21時