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何度 ページ9

「お、やっと溺れてくれたか」
「…」
俺はいた。
プールを目前に。
「リスポーン地点がないっていうのは嘘でーす。その方が緊迫感出ると思ったし、まあよかったね」
たしかに俺は生きている。
全身を縛られたまま。
そして、プールに向かって落ちながら。
「がっ…ごぼっ!?」
先程体験したばかりの苦しみをもう一度味わう。
「…あ、がぁっ…」
俺の体は沈み、またしても溺れた。
「さあ何秒もつかなー?」
苦しい苦しい苦しい。
痛い痛い痛い痛い。
俺が目を開けると、またリスポーン地点に立っていた。
「はいドーン!」
「うわっ…!?」
体は動かない。
ただただ沈んでいくだけだった。
「っ…ぇ…ぐ」
言葉にならない声を上げる。
そして…
また、リスポーン地点に戻る。
「アロハくん頑張って〜」
同じように体を押されてプールに落ちる。
「がはっ…か…ぁ」
何度溺れても、痛みを訴えても、苦しい思いをしても、これが終わることはなかった。
「まだまだだよ!」
押され、落ち、溺れ、復活する。
誰か、助けて…お願いだから…助けてくれ…よぉ
「ごほっぐぇ…ぇ!」
苦しみは終わらない。
頭がおかしくなりそうだった。
だんだん俺は、長く息を止めないようになった。
落ちて、落ちて、溺れまくり、復活するのを何十回も繰り返した。
しかし、何度溺れても、苦しみは終わらない。
怪我と違って、苦しみに慣れることもない。
ただ、息を止めるのも疲れてきたのだ。
「…」
「アロハくん、何ボーっとしてるの?今チャンスだよ。5秒だけ時間あげるから逃げなよ」
はっとする。
逃げたい、こんなのもう終わりにしたい。
その一心で気が狂ったようにもがき、その場から離れようとする。
「あ…!?」
しかし、彼女の足につまずいて、プールサイドに思い切り顔を打ち付ける形になってしまった。
「ご…っ…ぁあ」
受け身を取ることもできない。
ぷつりと鼻の中で何かが切れ、こぼれ落ちた。
また、あまりに顔が痛むので、涙も出てきた。
「残念、じゃあドーン!」
そのままプールに落とされる。
チャンスだなんて嘘だ。
こいつにはそんな気などさらさらない…
冷たい水が俺の傷を抉る。
「頑張れアロハくん!」
何回こんなことを繰り返せばいいんだ…
時に、彼女の蹴りが炸裂したり、プールサイドや角に、体や顔をぶつけたりした。
それでも俺は、頑張ったつもりだった…
あいつらに謝らねーと…なぁ…
意識がだんだん、遠のいていく…

アロハ→←もう



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しゃぼん🫧 コロイカダイスキ - ニヤニヤ…。 (3月5日 18時) (レス) @page33 id: 4cc781ec23 (このIDを非表示/違反報告)
あすあま(プロフ) - mariaさん» ふふ…毎度何かと世話焼きな彼、素敵ですよね!亀ペースですが、彼らの行く末を気長にお待ちくだされば幸いです。 (8月5日 23時) (レス) id: 5f256feba8 (このIDを非表示/違反報告)
maria - マスクくんの反応が気になるのでマスクくんお願いします! (8月4日 18時) (レス) @page35 id: 4c43ea808a (このIDを非表示/違反報告)
あすあま(プロフ) - アーミー好きさん» こちらこそキャラの魅力を感じてもらえて嬉しい限りです!今後もぼちぼち頑張りますので、是非ともよろしくお願いします! (6月27日 19時) (レス) id: 5f256feba8 (このIDを非表示/違反報告)
アーミー好き - これとても好きです‼︎自分の好きなキャラだし自分の好きな展開というか...とにかく好きですありがとうございます‼︎ (6月27日 17時) (レス) @page35 id: 3264f1cacf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あすあま | 作成日時:2023年4月28日 4時

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