コロイカ虐待

怖い ページ7

小さな光がきらりと反射する。
彼女が出したそれは、完全なる凶器だった。
「果物ナイフ、だよ」
ここに来て、ナイフ…？
「どこから切ろっかなぁ」
ガタガタと体が震える。さっきまでとは桁違いな程に。
水責めだって、殴りだって…耐えればなんとかなるだろ。
けど、ナイフなんかで切られたら、一生傷が残る…
ナイフの先端が、俺の顔に向けられる。
「ぁ、あ…」
怖い、怖い怖い怖い怖い…
今までと比にならないほどの恐怖に支配される。
「ごめんなさい…許してください…お、俺が悪かったから！顔は、やめてください…お願いします…」
しどろもどろに、けども早口で。
「どんな償いでもします…だから…」
ナイフはどんどん近づいてくる。
い、嫌だ…傷なんかできたら、もう今までのようにはいられない…命なんだよぉ…
「よし、きーめたっ」
ズボッとナイフが突き刺さる。
「あ、ぁぁぁぁあ…！」
何度も抜き刺しされ、切り傷をつけられる。
あ…あぁ…
彼女が刺しているのは、俺のゲソだ。
顔じゃないことには、安心した。
しかし、時にそのナイフは頭皮までもを貫いた。
溢れ出す。
それは額から伝い、ぼたぼたと垂れた。
痛い、痛い痛い…
ゲソが、ぐちゃぐちゃにされる。
俺の右にたれているゲソは、何度も刺されて切られ、分かりやすく言えば元の原型を留めていなかった。
俺のゲソだったものが、バラバラになり、水に沈んでいく。
そして、キャディサンバイザーも、ついでと言わんばかりに切りつけられた。
「あとは、後ろの…」
結んであるゲソは乱雑に切り落とされた。
「片方だけにしよ。面白そうだし」
「うわ…ぁ、あぁ…」
まるで俺はこいつのおもちゃだ。
いや、おもちゃでもここまで酷い扱いは受けないだろう。
俺が…壊されていく。
「まだ他人を心配する余裕はあるのかな？でもねぇ、アロハくんのせいでみんな酷い目に遭ってるんだよ」
嘘だ…
こんなの残虐すぎる…
「ぁ…あ」
俺の心はもうズタズタだ。
「あ、忘れてた。ダイバーくんのシャツで顔を拭いてあげるんだったね」
激しく強引にシャツが俺の顔に吸い付けられる。
頭や鼻から溢れ出る液がシャツに染み込んでいく。
このシャツ、新品じゃねーんだな…ぁ
俺のせいであいつらも酷い目に遭ってるって言うなら、俺は、どうすればいい…？
分からねー…

もう→←あいつら

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