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あいつら ページ6

「はぁ、はぁ、はぁ…」
荒くなる呼吸。
今までの中で1番早く動く心臓。
「アロハくんさ、今すっごく良い顔してるよ?」
何だと…
誰が…
こうしたと…
思…って…
「…」
思考が回らない。
頭が、ぼーっとする。
体は震え、悔し涙が出て…
「アロハくん?」
虚な目で彼女を見る。
どんどん体の力が抜けていく。
なんだろう…
こんなに冷たくて痛いのに、死んじゃうかもしれないのに。
死んじゃうかもしれないのに…?
恨まれる覚えなんてないのに酷い仕打ちを受け続けて、俺はただ、解放されたくて仕方なかった。
水に沈めば解放されるだろうけど、それはきっと簡単にこいつが許さない。
もう痛い目に遭いたくない。
でも…死ぬのは怖い…
「た、すけて…」
俺の心の叫びが、小さな声となって溢れる。
口を動かすたびに顔が痛んだ。
もう、あいつらに会えねーとか、嫌なんだけど…
チームメイトにライバル、それから…ブルーチームのやつら…
頭に浮かんでは消えていく知り合いの姿。
こんな夜に、助けに来ることはないだろうけどさ…
俺、帰れるのかな。
もし、帰れなかったらさ。
みんな、心配してくれるかな?
あーあ。
昨日のこと、ちゃんと謝るぐらいはしたかったなぁ…
「助けなんか、来ないよ。例え大声を張り上げたとしてもね。アロハくんはね、ここで1人寂しく痛ぶられ続けるんだよ」
1人…寂しく…
「あ、とりあえずもっかい拭いてあげるね」
彼女は水中から、びしょ濡れのあるものを取り出した。
俺はそれに見覚えがあった。
小さな光でも分かるくらいに赤い、赤い…
ぎゅっと雑巾を絞る要領で水を溢れ出させる。
そして、広げられたそれを見る。
このシャツ…
「ロゴマシマシアロハ、だよ。分かる?」
チームメイトを思い出す。
「レア度MAX…ギアも中々いい感じだし」
何言ってんだよ…
「問題、このシャツは誰のでしょうか!」
あいつらにまで…手出し、したのか…?
「ざけんな…よぉ…」
必死に体を動かす。
縛られてさえいなければ、俺はこいつを…
「俺を、恨んでるんだろ?あいつらは…何も…」
声が震える。
感情が高まる。
鎮めようのない怒りが込み上げる。
「俺だけで、いいじゃん…」
俺だってこんな目には遭いたくない。
けど、あいつらは何も関係ねーだろ…?
「はい締め切り〜。答えはアロハくん自身ってことでいい?」
…は?
「残念!正解はダイバーくんのシャツでした。じゃあ、お仕置きね?」
カチャリと金属の音がした。

怖い→←可哀想



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しゃぼん🫧 コロイカダイスキ - ニヤニヤ…。 (3月5日 18時) (レス) @page33 id: 4cc781ec23 (このIDを非表示/違反報告)
あすあま(プロフ) - mariaさん» ふふ…毎度何かと世話焼きな彼、素敵ですよね!亀ペースですが、彼らの行く末を気長にお待ちくだされば幸いです。 (8月5日 23時) (レス) id: 5f256feba8 (このIDを非表示/違反報告)
maria - マスクくんの反応が気になるのでマスクくんお願いします! (8月4日 18時) (レス) @page35 id: 4c43ea808a (このIDを非表示/違反報告)
あすあま(プロフ) - アーミー好きさん» こちらこそキャラの魅力を感じてもらえて嬉しい限りです!今後もぼちぼち頑張りますので、是非ともよろしくお願いします! (6月27日 19時) (レス) id: 5f256feba8 (このIDを非表示/違反報告)
アーミー好き - これとても好きです‼︎自分の好きなキャラだし自分の好きな展開というか...とにかく好きですありがとうございます‼︎ (6月27日 17時) (レス) @page35 id: 3264f1cacf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あすあま | 作成日時:2023年4月28日 4時

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