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失態 ページ25

…失敗?

「ち、が…違う、のだ…」
エフテンが、また…
「待っ…てく、れ…」
息も絶え絶えに、溢れたピンクは、全てそのままに。
「こん…な、筈では…」
顔を上げようとした瞬間、先程とは反対の頬にのしかかる重い、重い…蹴り。
「がっ…」
吾輩の視界は、大きく揺れ動く。
ほんの少しの時間をおいて、ぱさりとベレー帽が脱げ落ちた。
そのまま力が抜けた様に首が下がり、尋常でない痛みに支配される。
耐えなければならないのだ。

「は…ぁ…はぁ…っ」
小さく荒い呼吸を繰り返しながら、痛みを堪える。
しかし、半開きになった口からは、体液がぼたぼたとこぼれ落ちた。
「うぅ…」
一際目立つ純粋なオレンジの下には、大量のピンクが飛び散っていた。
アロハの…血…
彼は、こんなにも血を流していたのか…

涙が視界を歪ませる。
何が悲しくて、何が悔しくて涙を浮かべているのか。
そんなもの、奴を奮い立たせるだけではないか。
…その通りなのだが。
身体的な、問題なのだ。

「そうだ、さっきと同じじゃつまらないよね」
奴はエフテンの方を向いて呟いた。
「やめ…ろ…」
腕を伸ばそうとする。
しかし、手錠で上げられたままの腕は、だんだん血が通わなくなってきており、もう力が入らなかった。

…吾輩もどこかで分かっていたのだ。
ここで、どれだけ庇い合いをしたところで…
自己犠牲を貫いたところで…
見逃してもらえる訳がないと。

だが、だからこそ思うのだ。
奴の狙いは結果ではなく、その経緯にあるのだと。
アロハが…例ではないか。

「さ、エフテンちゃん!」
奴は続けた。
「隊長さんは君を守れなかったみたいだねぇ」

エフテンは震えた声で言い返す。
「ふざけるな…隊長は…私の為に…」
ぽつりぽつりと、
「貴様は…絶対…許さない…」
涙声で。
「ぅ、隊長…ごめんなさい…私が、至らないばかりに…」













「ふーん、そっか」
奴は冷たくあしらった。


「うっ…!?」
瞬間、身体に響く鈍い音…
奴の靴先は吾輩の腹部を突いていた。
「く…ぅ…」
すかさず食らったもう一撃。
それは、吾輩の脇腹にめり込んでいた。
「…がっ…ぁ、あ…っ」
今度はみぞおちを蹴り上げられる。
声が出ない。
うまく息が吸えない。
大きく目を見開く。

…これらの蹴りは全て、数秒の内のことだった。

何故、吾輩が…
そんな思いが一瞬頭をよぎる。

「気が変わっちゃった」

いや…
むしろこれでいい…
彼女を守る…為…なのだから…

何故→←ピンク



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しゃぼん🫧 コロイカダイスキ - ニヤニヤ…。 (3月5日 18時) (レス) @page33 id: 4cc781ec23 (このIDを非表示/違反報告)
あすあま(プロフ) - mariaさん» ふふ…毎度何かと世話焼きな彼、素敵ですよね!亀ペースですが、彼らの行く末を気長にお待ちくだされば幸いです。 (8月5日 23時) (レス) id: 5f256feba8 (このIDを非表示/違反報告)
maria - マスクくんの反応が気になるのでマスクくんお願いします! (8月4日 18時) (レス) @page35 id: 4c43ea808a (このIDを非表示/違反報告)
あすあま(プロフ) - アーミー好きさん» こちらこそキャラの魅力を感じてもらえて嬉しい限りです!今後もぼちぼち頑張りますので、是非ともよろしくお願いします! (6月27日 19時) (レス) id: 5f256feba8 (このIDを非表示/違反報告)
アーミー好き - これとても好きです‼︎自分の好きなキャラだし自分の好きな展開というか...とにかく好きですありがとうございます‼︎ (6月27日 17時) (レス) @page35 id: 3264f1cacf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あすあま | 作成日時:2023年4月28日 4時

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