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アーミーくん ページ20

灯が灯された。
急な眩しさに耐えられず、目を細める。
「隊長なんですか!」
正面から、声が聞こえた。
視界が良くなるにつれ、意識も伴ってくる。
「ん…」
寝起きのように、体を起こす。
カチャっと耳障りな金属音がした。

「…?」
なんだ、体が動かせないではないか…
金縛りか?
ああ、これは…夢か…

「…はっ!?」
嫌な、予感だ。
この状況は…本当に夢なのか?
いいや、どうにも違うらしい。
光に慣れた目は彼女の姿を捉えた。

「エフテン…?な、なぜそんなところに…!」
あ…
エフテンの体は、見覚えのあるロープで縛られていた。
吾輩が、何度も何度も見た、あの映像の…
拉致、拘束、拷問…
吾輩も、痛みを感じるほどに体を縛られていた。
かつて感じたこともないような恐怖感に襲われ、冷や汗が溢れ出る。
「分かりません!隊長も…ひっ!?」

エフテンは小さな悲鳴を上げた。
吾輩には、その理由が分かっていた。
エフテンが座り込んでいたのは、プールの真上の他、なかったからだ。

「なんで、水が…」
目を覚まし、数分も経たずして吾輩は分かってしまった。

この状況を、吾輩は知っている。
今世間で持ちきりの話題である、この状況。

「た、隊長…」
「エフテン、そこを動くな!」
見えた。
エフテンが座り込んでいる場所から一歩前にあるリスポーン地点が。
「待っていろ、吾輩が…!」
エフテンよりも吾輩の方がまだ動ける。

悲劇を二度も起こさせる訳にはいかない。
犯人に好き勝手させる訳にはいかない。
エフテンだけでも、彼女だけでも助けなければ…!

必死に体を捩った。
ギリギリと腕が音を立てる。
「くぅ……っ」

逃げなければ、逃げなければ…!

早く…

手錠で繋がれ、上げられた腕を、動かす。
ただひたすらに力を込め、耐えた。
…犯人の思う壺になんて、させて堪るか!

瞬間、足音がした。
…少し考えれば分かることだろう。
電気をつけた主が、いるはずなのだから。

我々の視線は音の鳴った方向に逸れる。
そこに、奴はいた。
肝心の顔はタコツボメットで全く分からず、嫌に厚着を着た…
「私のこと覚えてくれてるかな?」
確信はない。
だが、吾輩の本能が彼奴が犯人だと、アロハを虐め抜いた犯人でもあると示唆した。

「き、貴様…それ以上近づくなっ!あぁ…」
どれだけ力を入れても、手錠はあまりに頑丈で…
一歩…二歩…
いかにも、余裕のある歩き方。
彼女は我々を挑発するかのようにゆっくりと…

否、走り出した。

やめろ→←闇



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しゃぼん🫧 コロイカダイスキ - ニヤニヤ…。 (3月5日 18時) (レス) @page33 id: 4cc781ec23 (このIDを非表示/違反報告)
あすあま(プロフ) - mariaさん» ふふ…毎度何かと世話焼きな彼、素敵ですよね!亀ペースですが、彼らの行く末を気長にお待ちくだされば幸いです。 (8月5日 23時) (レス) id: 5f256feba8 (このIDを非表示/違反報告)
maria - マスクくんの反応が気になるのでマスクくんお願いします! (8月4日 18時) (レス) @page35 id: 4c43ea808a (このIDを非表示/違反報告)
あすあま(プロフ) - アーミー好きさん» こちらこそキャラの魅力を感じてもらえて嬉しい限りです!今後もぼちぼち頑張りますので、是非ともよろしくお願いします! (6月27日 19時) (レス) id: 5f256feba8 (このIDを非表示/違反報告)
アーミー好き - これとても好きです‼︎自分の好きなキャラだし自分の好きな展開というか...とにかく好きですありがとうございます‼︎ (6月27日 17時) (レス) @page35 id: 3264f1cacf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あすあま | 作成日時:2023年4月28日 4時

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