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真っ暗な闇の中で私は重い瞼を開く。
まだ夢でも見ているのだろうかと思ったが、首を動かすことは容易くでき、尚且つ意識もはっきりとしていた。
妙に寒気が止まらず、身震いをするも、私の身体はそれを許さなかった。

「え…」
視界から得られる情報はない。
しかし、それでも私には分かった。
私は今、紐状のもので巻かれ、拘束されているのだと。
立ちあがろうと思ったが、足も同じように縛られているのか、身体がまるで動かない。
決して苦しいわけではないのだが、自由が効くことはなかった。

私は一先ずイカ状態になった。
イカ状態であれば、多少のものはすり抜けられるし、何より身体を小さくできる。
この縄から逃れるために私がとった、最善の行動だった。
だが…
「い…っ!?」
節々から激痛が走り、ギチギチという音を立てて節々が悲鳴を上げた。
…確かに、拘束するのであれば何かしらの策が練ってあるに違いないだろうな。
どんな状況かも分からないのにこんな行動をとってしまうとは…軽率だった。
心の中で反省し、痛みに耐える。
それでも、状況は変わらなさそうだった。

「だ、誰か…いませんか」
必死に絞り出した声を上げる。
真っ暗で静かな闇の中、正直返答が来る望みは希薄だと思うが…
「もし誰かいるのであれば、返事をしてもらえませんか!?」
私の出した大きな声は、何度も反響した。
…どうやらここは、建物の中のようだ。
そう思ってみれば、風一つ感じないのにも納得がいく。
しかし、私の座っている床は冷たく、外のコンクリートの地面に似た何かを感じた。

「…」
拘束は腕までしっかりされていた。
体ごと後ろ側で縛られ、その縄はどこかに繋がっているようで、自分ではどうしようもない。
私は、この状況に絶望した。
直近の記憶が蘇り、どくりと心臓の音が響き渡る。
…知らない場所に拉致され、拘束されたに違いないと、私はそれだけ確信した。


瞬間、
誰かの気配がした。
「…誰ですか?」
もしや、私をここに拉致した犯人なのではないか、そう思いながら問いかける。
しかし…
「ぅ…」
呻き声だ。
少しずつ慣れてきた目をよく凝らし、声の主を探す。
かなり近くにそれらしい姿を捉えた。
「大丈夫ですか?」
「…ぁ、あぁ」


その声には、聞き覚えがあった。
耳を優しく刺激する、凛々しいその声に…
暗闇に慣れた目は、声の主の象徴をすかさず映し出した。
まさか…











「…隊長?」

アーミーくん→←【番外編】アロハくんです!



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しゃぼん🫧 コロイカダイスキ - ニヤニヤ…。 (3月5日 18時) (レス) @page33 id: 4cc781ec23 (このIDを非表示/違反報告)
あすあま(プロフ) - mariaさん» ふふ…毎度何かと世話焼きな彼、素敵ですよね!亀ペースですが、彼らの行く末を気長にお待ちくだされば幸いです。 (8月5日 23時) (レス) id: 5f256feba8 (このIDを非表示/違反報告)
maria - マスクくんの反応が気になるのでマスクくんお願いします! (8月4日 18時) (レス) @page35 id: 4c43ea808a (このIDを非表示/違反報告)
あすあま(プロフ) - アーミー好きさん» こちらこそキャラの魅力を感じてもらえて嬉しい限りです!今後もぼちぼち頑張りますので、是非ともよろしくお願いします! (6月27日 19時) (レス) id: 5f256feba8 (このIDを非表示/違反報告)
アーミー好き - これとても好きです‼︎自分の好きなキャラだし自分の好きな展開というか...とにかく好きですありがとうございます‼︎ (6月27日 17時) (レス) @page35 id: 3264f1cacf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あすあま | 作成日時:2023年4月28日 4時

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