検索窓
今日:33 hit、昨日:5 hit、合計:9,799 hit

大丈夫 ページ14

「アロハ…大丈夫だから。大丈夫だから、なっ?」
ゴーグルを外して目を擦りながら、ダイバーはアロハにそっと寄り添った。
背中を摩り、優しく言葉をかけ続ける。
「うっ…う…」
泣きじゃくるアロハを見て、ダイバーは思った。
俺たちの知っているアロハには、もう二度と会えない…
そんな気がしてならなかった。
「怖かったな、辛かったな…」
そんな言葉を投げかけて宥めるダイバーだったが、彼はピンクチームの中で最も焦り、思い詰め、人一倍アロハのことを心配して過ごしていた。
それもそのはず、事件の前日、彼はアロハと言い合いをしてしまったのだから。

「…は、ぁ…っ」
「アロハ?」
口元を手で覆い、呼吸が激しく乱れる。
「げほ…っ!?が、は…ぁ」
目をガン開きにし、大きく仰反るようにアロハは苦しみ始めた。
「ま、待て…アロハ!ここは病院だ!俺もいる…!」
「ぁ…かっ…」
前の発作よりも酷い…
自分1人でアロハを落ち着かせることはできない、そう悟ったダイバーは急いでナースコールで看護師を呼んだ。
「大丈夫だから、何も怖くないから…!」
ダイバーは自分にできる限りのことをした。
そして、本来の呼吸の早さに合わせ、背中を摩る、摩る…
「ぅ…ごほっ…」
「アロハぁ…」
あまりに苦しむので、ダイバーの心はまたズキリと痛んだ。
そして、病室についた看護師に説明した後、ダイバーは慌ただしく部屋を出て行った。
広場に出た彼は大きなため息をつき、ぼーっと空を眺める。
そして、今までのことを幾度と思い出しては溢れる涙を飲み込み続けた。

…病室から落ち着かない様子で出ていくダイバーと、その後、別室へ連れて行かれるアロハを黙って見ていた者がここに2人。
彼らもダイバーと同じく見舞いに来たつもりだった。
「今日は見舞いも出来なさそうですね…隊長」
「…そうだな。我々はまた出直すとしよう」
S4の一角であるアーミーと、チームの一員のエフテンである。
彼らもまた、ピンクチームのメンバーと同じように毎日アロハの見舞いに来ていた。
エフテンの手には、一般には手を出せないようなフルーツの入ったカゴが握られている。
そこにカレー要素は微塵もない。
「本当に、お気の毒ですね…」
そう言いながらエフテンは一際目立つフルーツカゴを置く。
隣には、先程病室から出ていったダイバーが持ってきたと思われるフルーツも置かれていた。
暗い表情のまま、2人はがらんとした病室を後にした。

怒り→←傷



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (31 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
19人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

しゃぼん🫧 コロイカダイスキ - ニヤニヤ…。 (3月5日 18時) (レス) @page33 id: 4cc781ec23 (このIDを非表示/違反報告)
あすあま(プロフ) - mariaさん» ふふ…毎度何かと世話焼きな彼、素敵ですよね!亀ペースですが、彼らの行く末を気長にお待ちくだされば幸いです。 (8月5日 23時) (レス) id: 5f256feba8 (このIDを非表示/違反報告)
maria - マスクくんの反応が気になるのでマスクくんお願いします! (8月4日 18時) (レス) @page35 id: 4c43ea808a (このIDを非表示/違反報告)
あすあま(プロフ) - アーミー好きさん» こちらこそキャラの魅力を感じてもらえて嬉しい限りです!今後もぼちぼち頑張りますので、是非ともよろしくお願いします! (6月27日 19時) (レス) id: 5f256feba8 (このIDを非表示/違反報告)
アーミー好き - これとても好きです‼︎自分の好きなキャラだし自分の好きな展開というか...とにかく好きですありがとうございます‼︎ (6月27日 17時) (レス) @page35 id: 3264f1cacf (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あすあま | 作成日時:2023年4月28日 4時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。