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アロハくん ページ1

真っ暗な空の下でゆらゆらと月光を映し出す水面。
見慣れたプールを目前に、俺はいた。
「は…」
息が詰まった。
だって、俺、普通に自分のベッドで寝てたじゃん?
「寒っ」
さまざまな方向から吹き込む夜風に耐え切れず、身を捩る。
その時、体の違和感に気づいた。
俺の手足は、プールサイドの一角にあるブロックから、ロープのようなもので繋がれていたのだ。
「はぁ?」
驚きとともに疑問が浮かび、怒りが湧いてきた。
呆れた…こんなくだらないことをする奴がいるだなんて。
その時、更におかしなことに気がついた。
俺は、パジャマに着替えて寝たハズなのに何故か普段着だったのだ。
腕や足が冷たくて仕方ないのはこれが原因か…
俺、勝手に着替えさせられたの?
ゾクゾクとした寒気が止まらない。

「…」
俺の思いが通じたのか、犯人らしき人物がゆっくりとこちらへ向かってきた。そして、
「それ、ただのロープじゃないよ。ちなみに体全体もぐるぐる巻きにしてあるから」
そう言った後に、こちらへ走り出した。
「ちょ、待っ…」
ドンッと強い衝撃を感じるとともに水面が近づいた。
俺の体は重力に逆らう事なく落ちていく。
「うわぁっ!」
ザバァン…
冷たい、寒い…暗い…
このままだと溺れてしまうと分かっていても、体はまるで動かない。
内臓が震えている。
俺の意識は…

「ぶはっ…!?」
途切れない。
ガシッと掴まれた体を起こされ、水面から顔を出した。
こいつがやったのか…?
「はっ…はぁ…」
息が吸える。
呼吸を整える。
そして…
「…ねぇ、どういう意図があってここに連れてきたのか、教えてくれない?」
聞くしかない。
逃げられそうもないのだから。

しかし、相手はだんまりだった。
先程の声からして、おそらく目の前にいるこいつはガールだろうということが分かった。
「ねーねー君さっ、もしかして俺のファン?」
少しでもいい。
なんとかこちら側に引き込むことができるなら…
「…私ね」
口元しか見えないが、ずいぶん暗い表情をしているように見える。
「あなたに恨みがあるんだよね」

俺に、恨み…?
「へぇマジ?君、あまりにも可愛いから初めて会ったかと思ったよ」
「言っておくけど、リスポーン地点なんてないから」
だらだらと冷や汗が溢れ出る。
それにこいつ、水深が肩くらいまであるっていうのに一緒にプールに飛び込んでくるなんて…

始まり→



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しゃぼん🫧 コロイカダイスキ - ニヤニヤ…。 (3月5日 18時) (レス) @page33 id: 4cc781ec23 (このIDを非表示/違反報告)
あすあま(プロフ) - mariaさん» ふふ…毎度何かと世話焼きな彼、素敵ですよね!亀ペースですが、彼らの行く末を気長にお待ちくだされば幸いです。 (8月5日 23時) (レス) id: 5f256feba8 (このIDを非表示/違反報告)
maria - マスクくんの反応が気になるのでマスクくんお願いします! (8月4日 18時) (レス) @page35 id: 4c43ea808a (このIDを非表示/違反報告)
あすあま(プロフ) - アーミー好きさん» こちらこそキャラの魅力を感じてもらえて嬉しい限りです!今後もぼちぼち頑張りますので、是非ともよろしくお願いします! (6月27日 19時) (レス) id: 5f256feba8 (このIDを非表示/違反報告)
アーミー好き - これとても好きです‼︎自分の好きなキャラだし自分の好きな展開というか...とにかく好きですありがとうございます‼︎ (6月27日 17時) (レス) @page35 id: 3264f1cacf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あすあま | 作成日時:2023年4月28日 4時

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