繰り返す僕ら 2nd (ページ8)

今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:4,795 hit

Story58 ページ8

宏「来月………」

ひとりの寝室で、そんなことを呟いた。

気付けば4月になっていたこの頃。

桜が咲いて、風に吹かれて宙を舞う。

それが儚く美しい春の季節だ。

Aの言った来月は、きっと5月のこと。

その15日に、全てを話すと言ってくれた。

宏「15って言ったって……」

あの人の命日であり…

Aの誕生日の日のでもあるはず。

そんな日にどうしてぜんぶを説明すると言うのか。

どんな意図があるのだと言うのだろうか。

宏「ねぇ……A、ごめんね」

写真立てに写る、俺の幼馴染み。

それは、俺が世界で一番大好きだった人。

そんな君に、俺はごめんしか言えない。

あの日さえなければと思う。

もっとそばにいてあげればよかった。

無理にでも打ち明けさせればよかったのだろうか。

宏「未練がましいね、俺……」

鼻の奥がツンっとするけど、我慢する。

俺はもう……約束を破りすぎているから。

宏「＿好きだよ……どうしようもないくらいに」

どちらのAも愛してしまった俺は、愚かだ。

そしてそれは、大罪と同じこと。

宏「離れないで、なんて……ワガママかな？」

甚だ図々しい俺の言葉。

ごめんな、もう二度と失いたくない。

ほんとは、俺とあの子は出会うべきではなかったよ。

だって……

宏「Aを……失いたくないっ」

俺の願いへ、縛り付けてしまうから。

どちらの君にも、そばにいることを望んでしまうから。