Story56 ページ6
光「Aのことだし、Aちゃんに生まれ変わったとしても、
あの頃と同じこと言うんじゃない?」
光の言ってることは、きっと合ってる。
Aはきっと、「そんなこともう忘れて!」って
拗ねたように言って最後に
光「ねぇ、薮。気付いてるでしょ?
どんな理由を取り付けたところで、結局は_」
想いは消せない、誤魔化せないって。
光の言葉が俺の心をまた優しく突き刺した。
俺は俯いて、自然と光から視線を逸らした。
光「ごめんな、薮。気の利いたこと言えなくて…
無神経だったな、俺」
視線を逸らした俺に、光は困ったように言う。
宏「いや、光は…」
悪くない、そう言った声はなぜか小さかった。
なにやってんだ__、俺は。
光「今日は、もう帰ろ。
ほら、薮もうすぐ家着くんだから。」
Aちゃんが待ってるでしょ。なんて言った光は
また悲しそうな顔をした。
その顔を今の俺は、笑顔に変えてはやれない。
俺…弱虫だから
宏「あぁ、そうだな。また明日な光」
光「明日は、休みだよ。ばーか」
宏「あぁ、そっか。すまんすまん」
そんな、昔と似たような会話。
懐かしさに胸が、なんだか暖かくなる。
光「じゃ、またな」
宏「あぁ、またな」
去っていく光の後ろ姿が、なぜか小さくみえる。
やっぱり、今とあの頃は違う。
俺だけだ……
時が止まったまま、動けないでいるのは。
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作者名:瑠璃華 | 作成日時:2021年9月13日 5時