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Story54 ページ4

光「んで?話ってなに?」


朝の約束を覚えてくれていたらしい光は、

ある程度の距離を歩いたときそう告げた。


さっきまでは、小さい子供が遊んでるような

テンションだったのに


今はそんな楽しい空気とは少し違うのが流れている。



宏「あの子の……ことなんだけど」

光「あの子って、Aちゃん?」



俺は短く「そう」とだけ返した。

頭ではAの笑顔が浮かんでは消えてを繰り返す。



宏「あの子、さ。Aの……」



生まれ変わりだったみたい。

そう俺が口にしたとき、光はどんな顔してただろう。



宏「この前さ、言ってたように寝ぼけてたAに

ペンダント渡したの。そしたらさ」



俺とAしか知らないこと、あの子知ってたの。

そう告げた瞬間、二人の間に沈黙が流れる。



今でもAのあの、悲しそうな顔を思い出す。

悲しそうな苦しそうな、そんな顔。



光「つまり、あの子は…前世の記憶がある……と?」

宏「そう。だって、あの子あのときペンダント

外した理由、言ってたから」



あの人本人だけが知り得る理由を

Aは俺が聞いたときに答えてくれた。


それは、もう全てを諭すような瞬間だった。



宏「そもそも、少しだけ不思議だったんだ」

光「不思議だった?」



俺がAにパスタを出したら

「料理できるようになったんだ」なんて口にして。



宏「俺が昔、料理下手だったこと知ってた時点で

少しくらい気付けば良かったよな……」



そう言って、俺は自嘲気味に笑う。



あの日の俺はきっと、

知らないフリをしていたかったんだ。


きっと、ただそれだけ。

気付かなかったフリをしていたかったんだ。、

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作者名:瑠璃華 | 作成日時:2021年9月13日 5時

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