Story76 ページ26
リビングの扉を開けて入ると
「ん?あ、宏太おはよう!」ニコッ
鮮やかに笑う、Aがキッチンに居た。
宏「おはよ、A」
「ご飯、あとちょっとでできるから待ってて!」
優しくかけられた声に、朝の焦がれた胸が
また少し焦げた。
大人しくソファに座って待っていると、
すぐに「できたよ〜」って声がかかる。
運ぶのを手伝って、2人向かい合わせで席に着く。
「「いただきます」」
なんて言葉が、部屋に響く。
囁かな…ほんの小さな幸せ。
それが俺の心を、ほのかにやさしくした。
宏「やっぱ、Aは料理上手だね」フニャ
「そんなことないよ〜笑」
ほんとは、照れてるのに謙虚になるとこは
やっぱりあの頃と変わらない。
あの頃に……
今やっと、戻れたのだろうか。
宏「ねぇ……A?」
「ん〜? どうしたの?」
おかずを一口口に入れたAが返事をする。
宏「ううん、やっぱいいや。
あ、そういえばさ?______」
言いたかった言葉は口にできず、自分の中で
呑み込んでぐちゃぐちゃにかき消した。
宏「今度の日曜に、裕翔がみんなでどっか行こう
って言ってたよ。A、どうする?」
あれから、数週間がたった。
みんなとの関係も、あの頃と同じになった。
「もちろん行くよ! 楽しみだなぁ〜」ニコッ
鮮やかな笑顔に胸が甘く締め付けられた。
俺は今……
あの頃と同じ幸せの感覚を繰り返している。
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作者名:瑠璃華 | 作成日時:2021年9月13日 5時