繰り返す僕ら (ページ40)

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3月の空気は、2月の余韻をまだ引き摺っている。

そんなことを感じる、仕事帰り。

回ってきた仕事は、難なく終わり既に提出済み。

光「あ、薮！」

宏「ん？なに、光」

会社を出て数歩歩いたとき、光が声をかけた。

光「渡すもんあるって…言ったろ？」

宏「あぁ、、忘れてたわ笑」

光「はぁぁ。だろうと思ったよ笑ほら」

そう言って、光が俺に渡してきたのは

少し小さな箱だった。

光「Aに似てるなら…たぶん、あの子も

好きだろ？それ」

そう言われ、もう一度手元の箱を見ると

可愛らしいイチゴの挿絵があった。

宏「あ、もしかしていちご？」

光「うん笑ちょっと、多めに買っちゃったから笑」

宏「A、めっちゃ喜ぶよ」

そんな言葉とともに、いつの日かのAを

パッと思い出す。

光「はははっ。やっぱ、好きなんだな…」

そう言って、俺の少し前を歩き出す光。

宏「うん……。 A並だよ、いちごって聞いた

ときのテンションの上がり方笑」

そんな光に、駆け寄って俺も歩き出す。

光「まじか笑とことん瓜二つじゃん笑」

そう笑いあった奥に映るふたりの感情を

互いは知り合えない。

光「あ、そうだ。今度、この近くのホールで

伊野ちゃんが演奏しに来るってさ。」

宏「あ、マジ？伊野尾の奴。俺にはなぜか教えて

くんないんだよなぁ」

そんな在り来りな会話が続く帰路は。

まるで、あの頃みたいだ……

なんて、バカらしいだろうか。