繰り返す僕ら (ページ4)

今日:10 hit、昨日:0 hit、合計:10,509 hit

Story4 ページ4

貴女 side

宏「俺の勝手ですることだよ？

だから、迷惑になんかなるわけないよ、」

そう言ったこのお兄さんのこと。

縋りたい…なんて思っている自分が、いる。

それに、お兄さんと話してると…

懐かしさが込み上げて、切なくなる。

これは、産まれ持った記憶のせいだ……

それは、消せ切れなかった記憶のせい…

「ほんとに、いいんですか？」

宏「もちろん、放っては置けないからね」

そう言ってくれたお兄さんが伸ばした手を。

私は、単純に握ってしまう。

宏「あ、名前……聞いてもいい？」

そう言った彼に、私は…

「はい。颯乃Aって言います…

あ、高校3年生です。」

そう言った私に、瞳を揺らす彼を。

私は知らない、気付けない。

宏「…Aちゃんね。俺は、薮宏太」

「薮さん……「宏太でいいよ」…え？」

突然、まだ会ったばかりなのに。そんなことを

私に乞う薮さん……

薮さんは、切実な目で｢お願い｣と私に訴える。

だから…

「わかりました、やb…宏太。

なら、私もAって呼んでくださいっ」

宏「ありがと。わかったAね」ﾆｺｯ

その笑顔が、私の胸を締め付ける。

そして、記憶に優しく触れる。

それを、あなたは知らないんだね…