繰り返す僕ら (ページ13)

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Story13 ページ13

Aの服を買いに行った日から数日。

今日は、光と会う約束をした日。

会社に居るときの光は、別にいつも通りでは

あったけど……

俺を見るたび、やっぱり複雑そうな顔をしていた。

光「あ、薮！こっち、こっち」

宏「おっ、光。ごめん、待った？」

朝、光にメールで来るように言われたカフェに

入るとすぐさま光が俺を呼び寄せる。

そして、こんなありふれた会話を紡ぐふたり。

席に着いて、珈琲を頼んでから。

それが来るまでの間に、談笑し始めた俺と光。

時間は、驚くほど進んで気付けば珈琲は来ていて。

そのとき、光は満を持したように

光「ねぇ、薮。」

と、口を開いた。

そのとき、俺らの上だけほんのちょっと空気が

重くなった気がした。

宏「なに、光」

光「あの子と、どこで知り合ったの？」

あの子…とは、きっとAのこと。

光の戸惑いの目は今ももちろん覚えている。

宏「路地入った辺りの、人通りの少ない橋の上。」

光「なにがあったら、一緒にいることになんの？」

光は、俺に哀しみの目を向けながら聞く。

宏「Aに、似てたから……」

光「Aに、似てるからって！」

わかってる、それじゃダメなことは。

でも…

宏「ごめん、、光。俺…ほんとはあの日から

1歩も前へ進めてなんかないんだ」

そう言った俺に光は、悲しそうに瞳を揺らす。

優しい光だから、俺を思ってのこと。

きっと、ただそれだけのこと。