写真も想い出も綺麗ごと 〈2nd〉

story52 ページ7

雄也side


宏「偽善者だって言ってたよ、自分のこと……」


A…が？

あいつは、偽善者なんかじゃ……


宏「無理して笑ったAの気持ちが……

俺らを苗字で呼んだ時のAの気持ちは……っ！

お前らには…わかんねぇよ……っ」



今更になって、こんなに後悔するなんて。

なんであのときに思わなかった？


なんで、こんなにも長く一緒にいたのに、

Aのこと分からなかった？



今更になって、あの瞬間薮くんに

｢お前らには、Aの傍に行く資格なんか

これっぽちもないっ！｣って意味を理解した。


こんなんじゃ、Aの傍に行く資格がない

って言われるのも当然だ。



雄「俺……Aのこと、なにも……っ」



薮くんで隠れたAが、隙間からチラッと

見えるたび、胸が抉られる。


青白くて、きっと冷えきっているであろう

華奢な腕と。

もう、笑ってくれる事の無い綺麗な顔。



「俺……薮くんから、大切な人……

奪っちゃった……」



そんな声が聞こえて、また胸を抉る。

それはきっと、きっとその声の正体が



宏「…は？なに、言ってんの、大ちゃん」



俺の横に、俺と同じように後悔したような

顔をした有岡くんだったから。

同じ過ちを犯した彼だったから。

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