2-5(オペレーター目線) ページ6
防衛開始と言われてから数分後。バリケードの向こうからドローンが回ってきた。
監督から「手を抜くように、また訓練が終わるまで君たちが仲間だと悟られないように」と言われて気づかないふりをしていた。
彼女の純粋な殺意を見てみたい。という旨の説明だった。
皆初期の新兵の格好をしているがそれぞれ
俺(ルーク)、スモーク、カプカン、モジー、マエストロの5名。
そして俺たちは知っている。敵の情報を知らされていないのはAのみだと。
始まる前にモジーは嘆いていた。
「不本意とはいえ、かわいい女の子を撃つのはなー。」
「んな事言ってもよー。お前元気にやりたいです、って言ったじゃねぇかよー。」
スモークが銃をぶら下げたまま頭の後ろで手を組み意地悪に言う。しばしの沈黙の後いきなりの銃撃にスモークがいくらか弾を掠っていた。
どうやらAのお出ましだ。ドローンでちらりと見ただけの情報で的確に当てるのは少し恐怖を感じる。引こうとした俺にもバリケードの空いた穴からゴム弾が飛んできて薄いアーマーにくい込みかなり痛い。
やべ、実弾だったら死んでた。スモークと俺を残してモジーは違う部屋に逃げ隠れるし、バリケードを破ってきたAにスモークがこれでもかとゴム弾をくらい降参。
部屋の隅から俺も立ち上がり銃を構えたのに勢いよく振り返った彼女が頭にビシリとゴム弾を俺に当て自分も降参。
その時に見た光のない目にドクンと心臓が跳ねた感覚に陥る。
テロリストに向けられた静かな殺意だ。
いつも見ている控えめな女性とは裏腹に燃えて灰になった下に燻っている確かな火を見つけた気分だった。
その後は大人気ないカプカンが裏取りをしてAの背中にありったけゴム弾を叩きつけて終了。
危機を察知し逃げ出したモジーの足音を追いかけ、撃墜。その後ろをカプカンが取ったことになる。
マエストロは終始姿が見えず、話を聞くと2人分の足音が聞こえ、モジーが逃げ込むであろう部屋の前に銃を構え、陣取っていたようだ。どちらにしろカプカンかマエストロどちらかが早く撃ってたかの違いだ。
降参、と言った彼女は酷く落ち込んでいるように見えた。
やっぱり、今日俺たちがAの近くにいた人達だと告げるのはやめておこう
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オペレーター・ROOK
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作者名:憐 | 作成日時:2020年3月21日 23時