私は人質のようです (ページ23)

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私はレインボー部隊の治療室で怪我の手当をしてもらったらしい。
細菌爆弾の蔓延する場所で保護された人は付近の病院では感染を恐れて拒否されるのだとか。
既に呼吸が止まっていた状態でゆっくりと病院など探す暇もなく、責任を持ってドクが私を治療すると申し出たようだ。

この治療室には沢山の人が出入りしていた。

ドクさんは多忙でリハビリは1人の時が多かったが。それでもレインボー部隊の方達がたまに私を見て寄り添ってくれた。
こんな一般人の為だけに申し訳なさも感じる。

今隣に居るのは訓練を終えて戻ってきたばかりのミュートさん。
自分から喋る人ではなく、そこで静かに佇んでいた。呼吸さえも聞こえてこない、そんな人だった。
それでも手すりに必死に捕まっている私を見て心配してくれたらしい。
本人から出た言葉ではなく、通りかかったスモークさんが一方的に喋っていただけだが…
本人曰く

「そういう事にしておく」

らしい。2人共とは途中で別れ、私はバルコニーのような場所に出た。

下の方で障害物をおいた閉鎖的なフィールドでたまに動く影が見える。
西と東からそれぞれ腕に青とオレンジのバンダナを巻いた隊員が自分の腕と違う色のバンダナをしている人と撃ち合っている。
当たるとチョークのような真っ白い弾が弾けて白い粉を巻き散らかす。

「実戦に近い形で、戦ってもらっている。頭に1発。胴体に5発、いずれか食らったものは一旦退場してもらっている」

後ろから声が聞こえたかと思うとすぐ隣に手すりに寄りかかったガスマスクをした男性。スモークでもミュートでもない…スレッジさんは目元がハッキリと見えていたから違う人だ…

「サッチャー。宜しく。」

A「Aです。宜しくお願いします…」

その場で軽い握手をして、その後はサッチャーと勝負の行く末を見守りながら会話をしていた。