☆ ページ21
それからしばらくした、ある日曜の昼過ぎ。
なんにも言わずに出かけていた和也が、何やらごそごそしながら帰ってきた。
玄関の戸を開ける音はしたのに、しばらく居間に来ない。
ひとりでぼそぼそ呟いてる声も聞こえる。
あ「......？」
潤「ん？ニノが帰ってきた？」
あ「ん、たぶん。でも何かしてる。」
私は居間から四つん這いで板の間に顔を出し、玄関をのぞき込んだ。
あ「和也？」
和「...待て待て、そっち行くと落ちるって、ちょい待て。」
あ「おかえり。どこ行ってたの。...って、なにその大きな箱。」
和「...んしょっと、...やべ、あんま時間ねぇ...」
両手にいくつもビニール袋をぶら下げながら、大きなプラスティックケースを抱えた和也。
置けばいいのに。
慌てて袋をぶら下げたまま引き戸を閉めるから、ガサガサゴソゴソやりにくそう。
あ「何してんの。引っ越し？」
と、疑問を抱きながらも、そのケースにどこか見覚えがあるような...
和「んー、あながち間違ってはいない。」
あ「は？あんた引っ越すの？」
なんだよそれ聞いてないぞ？と思いつつ、四つん這いから起き上がったその時。
んにゃ〜〜...
って。猫の鳴き声。
え？何々どーした。これ猫入ってるの...？
あれ...。
あの...まさかね...？
かすかな予感にドキドキと胸が騒ぎだす。
和「ちょっと猫...飼おうと思うんだけど。いいかな。」
あ「...ちょ、え、なんで急に...猫なんて...、」
和「まぁ。ね。いろいろあんじゃん、人間は。」
あ「え？人間？」
和「でもま、動物に罪はないわけで。」
あ「...うん？」
和也は猫のケージの向きを変え、中身を見せてくれた。
そこに居たのは、
あ「チャト...！？」
中から恐る恐るこっちを見てるのは間違いなくチャトで。
顔も鳴き声も間違えるはずなんてなく。
なんにもどっこも変わらない、櫻井さんちのチャトだった。
和「飼い主いなくなっちゃうんじゃぁかわいそうっしょ。」
あ「え？」
和「こいつだろ？お前が可愛い可愛いっつってたの。」
あ「...そ、うだけど、あの、飼い主居なくなるって...どういう...」
チャトのケージをそっと下ろしながら、和也は私を見ずに低い声で言った。
和「今日の五時。飛行機。」
あ「...は？」
和「あいつ...、櫻井。海外支社行くんだって。」
あ「......っ！」
びっくりし過ぎて声も出なければ口も閉じない。
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みなもん(プロフ) - ーーーーーお知らせーーーーーーコメントのお返事は皆様のボードにてさせて頂きました｡ﾟ(ﾟ＾ω＾ﾟ)ﾟ｡たくさんのコメントありがとうございました。また遊びに来てくださいまし○┓○┓○┓○┓(:D)┓ﾍﾟｺﾘﾝﾁｮ (2018年6月10日 9時) (
レス) id: 5d50cdb262 (このIDを非表示/違反報告)
juri(プロフ) - 完結おめでとう！わたしは寂しいよー。若様、野郎の気持ちがあまりに愛おしすぎて。この先いつか、若様に迎えにきて欲しいけど、野郎くんとサヨナラするのはイヤだし、若様がまたフラれるのもイヤだし…と勝手に続きを妄想。結果は、最高の完結！このひとことです。 (2018年6月6日 11時) (レス) id: df42e51565 (このIDを非表示/違反報告)
サラー(プロフ) - こんなステキなお話、初めて読みました。ステキなお話をどうもありがとうございました。(*´ω｀*) (2018年5月29日 2時) (レス) id: 66c911b96a (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - お疲れさまでした。めっちゃ楽しかった！でも…楽しみが１つ無くなってしまう…(。>д<) 野郎派の私ですが、数年後のなんやかんや、楽しみにしています♪ (2018年5月24日 12時) (レス) id: 09f95612dc (このIDを非表示/違反報告)
佐奈(プロフ) - 完結、おめでとうございます！お疲れ様でした。いつも更新を楽しみにしてました。野郎派な私にはとても嬉しい終わり方でした！！！これからも、みなもんさんの作品読ませていただきます。頑張ってください！応援してます！！ (2018年5月22日 23時) (レス) id: 6667749053 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みなもん
| 作成日時：2018年3月3日 20時
