★…S… ページ5
約束の20時。
玲子が指定した、懐石料理の店で彼女を待った。
玲子「失礼致します。」
部屋に入ってきた玲子を見て、俺は目を疑った。
それまでの、まさしくお嬢様という雰囲気は微塵もなく、憔悴しきった様子だった。
翔「玲子さん…？何かあったんですか…？」
もちろん身なりはきちんとし、まっすぐな黒髪も綺麗なまま…
誰にも文句を言わせない美人、といった感じは変わらない。
でも覇気がない。キツさがない。
玲子「翔さん、どうせあなたも、私なんてお断りって言うのよね。」
翔「はい？」
玲子「お父様に言われたの。櫻井ホールディングスとの将来は確約が取れたから、もうお前は嫁がなくていいって…」
翔「……え？」
……じゃぁもう説得の必要はないのか？
つい先日までは、何が何でも俺との結婚を、という強硬な態度だったのに。
玲子「もう私は要らないって。もう駒にもならせてもらえないの…」
翔「…え？…駒？」
玲子「良い駒になれないなら、もう私なんて存在価値がない…。」
翔「…ちょっ、ちょっと待って玲子さん？何の話をしてるのか…」
精気の抜けたような顔をした玲子をなだめて、よく分からないまま話を聞いた。
玲子は小さい頃から、会社のためになる相手と結婚する事が、最も意味のある事だと教えられてきた。
女に生まれた以上、それ以外に存在価値がないかのように…
「俺は息子が欲しかったんだ。」
「娘なんぞに会社は継げん。」
そう言われ続けた玲子が、父親に認められる為には、政略結婚を成功させて、会社に貢献する道しかなかった。
「櫻井家に嫁にいけ。息子に会社を継がせるよりも家の為になる。」
その意味が分かるようになった歳頃からは、それだけが父に認められる手段になっていたらしい。
まだ俺に会ったこともない頃から、俺の家に嫁に来ること、それが彼女の生きる目的にすらなっていたそう。
玲子「あの女は嫌い。大した取り柄もないのに。誰からも好かれて。認められて。
その上私がそこにいるはずだったのに、あなたの横にいた…」
翔「それはAが自分で……それに俺たちのことは俺から始まったことだ…」
玲子「許さない。あの女が居なかったら、すんなり結婚も決まって、父は私の価値に気づいたはずなのに…」
翔「…だからあいつは関係ないだろ。」
玲子「あの女のせいで…あの女さえ居なかったら……」
俺の中で、怒りよりも、哀れみの方が大きくなっていた…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1602人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みなもん(プロフ) - akkoさん» akkoちゃんのプロポージュは…ごにょごにょっと_φ(･_･アタスなんて、プロポージュなかったからぁ＼(^o^)／おりゃー！いいの。妄想の中で王子たちにやいのやいの翻弄されてやんややんやプロポージュされちゃうから( ´艸｀)しぇんぱいと黒ひげしたいなぁ( ´艸｀) (2015年10月8日 11時) (
レス) id: a4ec505875 (このIDを非表示/違反報告)
akko(プロフ) - はうっヽ( ;ﾟ;ж;ﾟ;)ﾉ エピソード作りが……くくく黒ひげとは(笑) もぅ、愛しさしかないよね。ベッドの上で愛を叫びながらプロポージュしてくれたなんて。一生忘れないわ、私。 ちなみに私のプロポーズはね……ごにょごにょ。 (2015年10月8日 9時) (レス) id: 6f466a8f2c (このIDを非表示/違反報告)
みなもん(プロフ) - ゆーみんさん» ゆーみんしゃん^o^しぇんぱいのプライドが許すまで、何度でもやり直しさせてあげようかな、と（笑）( ´艸｀)オトコの顔をしたかと思うと、可愛さ満点な赤色王子に、ほんとにメロメロなんですよねぇ私も…(´Д` )ダサいとこも好きって何万人に思われてるんだろ（笑） (2015年10月8日 8時) (レス) id: a4ec505875 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみん(プロフ) - しぇんぱい可愛い！プロポーズやり直すなんて、アレ駄目ですよー！キュンキュンしちゃうよー！ (2015年10月8日 1時) (レス) id: 05c96d2f4f (このIDを非表示/違反報告)
みなもん(プロフ) - akkoさん» akkoしゃんは鼻血ブーでぎゅんぎゅんっと。_φ(･_･私もー|(￣3￣)|ぶちゅー。しぇんぱいもかじゅなりもやっぱり好きぃ〜＼(^o^)／あと50話のゆうよになったので、まだまだ絡んでもらおうかな、と思っております(*^^*)まだまだよろしくお願いしまーす(^-^)/ (2015年10月7日 19時) (レス) id: a4ec505875 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みなもん
| 作成日時：2015年9月6日 23時
