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朝、目を覚ますとAの全てがなかった。
同棲しているわけじゃないが俺の家に散乱しているはずのあいつのモノが、綺麗になくなっていた。
あいつが俺に何も言わずにどこかへ行くはずがない。
それも、かなりあった荷物を抱えて。
なにかあったのか?
と、メッセージを送ろうにも電話をしようにも、あいつの連絡先すら見つからない。
どうにもできなくなった俺は、とりあえずあいつの兄であるソクジニヒョンに電話をかけることにした。
『どうしたの、ユンギ。珍しいなぁ』
俺からは滅多に連絡をしないからか、朝だというのに少し嬉しそうな声が聞こえた。
「ヒョン。A、何か言ってませんでしたか。朝起きたら荷物も連絡先も何もかもなくて」
『え、A?』
「はい。そっちに行ったりとか、してませんか?」
電話越しに何か考えるような声が聞こえて、続けて不思議そうな声で言った。
『Aって、誰のこと?』
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作者名：りしゅ | 作成日時：2020年6月23日 0時
