ほとぼり。3 (ページ5)

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SC『…嫌がらせとか、何もされてない？』

スンチョルは知らない

ポストにカミソリレターを入れられたりドアに暴言を書かれたりしてることを

SC『大学でなんかされたりとか…』

スンチョルは知らない

いつ誰がどこで撮ってるか分からず、私が恐怖で大学に行けなくなっていることを

SC『もしされてるなら、俺に話して』

言えるわけないじゃん。話してどうなるのよ

私が泣いて助けを求めたら来てくれるの？

来てくれないくせに。

スンチョルは事務所に私に会うのを止められてるし、仮にもし来てもそれこそ撮られてSNS行きだ

話した所で現状が変わるわけじゃない。話してどうにかなるならとっくに話してる。

優しいスンチョルに対してそんな捻くれた考えが浮かんでしまうほど今の私には余裕がなかった

SC『A？大丈夫？………なんか元気ないよ』

頭にカッと血が上った

その勢いに任せて私は口を開く

「馬鹿にしてるの？私が大丈夫に思えるわけ？」

酷く責められた気がしたんだ

スンチョルにそんなつもりがないのは、本当は分かってた

だけどこの感情を何処に発散させればいいのかが分からなかった

自分の身近な存在だからって当たるのは間違ってる。身近だからこそ大切にするべきなのに

でも、もう私は冷静でいられなくて

「元気ないよって……何よ

私は辛くて仕方ないのにそれでも元気に振る舞えって言いたいの？」

スンチョルは何も知らないのにこうやって一方的に言うなんて、私の方がスンチョルを責めてるじゃん

それでも今の私に、いつもみたいに「大丈夫だよ」なんて言って笑う気力が残ってなかった