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朝、大学に行くために家から出るとポストに封筒が入っていることに気付いた
どこにも差出人の名前が書いていないそれはまあまあな重さがあって少し分厚い
誰からだろうと思いながら開封すると突然指先に鋭い痛みが走り、驚いて封筒を手離した拍子に中のものがバサリと音を立てて落ちた
「いっ………!」
指先を見ると深く切れていて血が流れている
痛さに顔を顰めながら落ちたものを拾い上げようとして私は目を見開く
「……え」
そこには明らかに隠れながら撮ったであろう角度からの私の写真が散らばっていて中には昨日私がベッドで寝ていた写真まである
走り去ったと思っていたのにあのあとずっと私の家の近くにいた?
カーテンの隙間から撮られてるその写真に恐怖で動悸が止まらない
よく見ると封筒の封の部分には刃が仕込まれており、それで指が切れたことが分かった
明確に向けられた私に対する悪意
今この瞬間も何処かで見られてるかもしれない、撮られてるかもしれないと思うと頭がおかしくなりそうになり、うるさい心臓で周りの音が聞こえない中私は逃げるようにその場から離れた
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YN「Aおはよ!…って何でそんな死んだ顔してんの?」
私より少し遅れて大学に来たユナに声を掛けられる
音沙汰なかったユナがあまりにも普通に、いつも通りに声を掛けてくるものだから一瞬フリーズした
「え…ユナ何でいるの?」
YN「何よ、いちゃ悪い?」
「ごめん、そうじゃなくて…連絡もつかないし何も言わずに休んでたからすごい心配したんだよ」
YN「ああ、ちょっと色々あってね。まあこの通り元気だから気にしないで!」
バシバシと相変わらず強い力で私の肩を叩くユナに、本当に元気そうで少し安心する
YN「あ!そういえばネットニュース見た!?
スンチョルの熱愛出てんだよやばくない!?これマジなのかな?!」
いそいそとスマホを取り出しネットニュースの画面を見せながら言われ、思わず体が強張った
「そうなんだ」
YN「てかこの女の人なんか…Aに似てる?
もうAにしか見えてこなくなってきてちょっと…ぶふっ…ジワる…」
ユナは一人で楽しそうにニヤニヤしてるが私は内心気が気がじゃない
「…言っとくけど私じゃないからね」
YN「え〜〜でもAこの服とか持ってたくない?」
何でこんな変なところで目敏いんだ
冷や汗が背中をつたう感覚がして、気持ち悪い
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作者名:環。 | 作成日時:2023年11月11日 2時