ほとぼり。2 (ページ46)

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ドッ、と心臓が大きく脈打った

………そりゃ、そうだよね、当たり前だ

［君は知らないかもしれないけどあいつらはまだ駆け出しで、恋愛に現を抜かしてる暇はないんだ］

「……………」

先程のにこやかな笑みを浮かべていた人と思えないほど冷たく私を見据えるこの人は、私に対する敵意を隠すつもりはないようだ

［本当にあいつのことを思うなら別れるべきだと思わないか？

君だって恋人と自由に出掛けられないのは堪えるだろ？

これを機に新しい人を探すべきだ。その方が幸せになれる］

そう言われ、思わず腹が立つ

前半の言い分は分かるけど後半のそれは余計なお世話だ

スンチョルのためにもここは流すべきなんだろうが、どうしても我慢ならくて言い返す

「……騒動を起こした身で偉そうなことを言えないのは重々承知ですが、勝手に決め付けないでくれませんか」

［…………何？

じゃあ君はあいつと付き合い続けるためなら彼らの迷惑になることも顧みないと？］

「っ！違います」

ただ、私は

［私から見ても君達はおかしいよ

自分の気持ちを優先して相手を縛って周りに迷惑かけて、それでも一緒に居たいなんてそれは恋じゃなくてただの依存だ

一体それのどこが幸せなんだ？

不毛なことをしてこれ以上私達に迷惑をかけないでくれ］

知らない誰かの物差しで私達の幸せを測らないでほしかった

「………………っ」

唇を強く噛み締めると血の味が滲んだ

［悪いが君に拒否権なんてないよ

クプスと別れてもらうのは決定事項だか…］

バンッ！！

勢いよく扉が開く音がして、驚いて振り返ると練習に戻ったはずのスンチョルがいた

SC「…どういうことですか、代表」

［…………何故ここにいる。練習に戻れと言ったはずだぞ］

SC「俺達が今後気を付けるなら交際を続けてもいいって言ったじゃないですか」

［…………………………］

SC「そしたら別れなくてもいいって条件だったのに、それなのに俺が居なくなった瞬間Aに詰め寄って挙げ句の果てには俺と別れろって？」

［……………はぁ……分かってくれよクプス］

SC「こんなの…………！」

「………スンチョラ、」

SC「こんなのっ……あんまりだ！！！」

どうか、泣かないで