ほとぼり。2 (ページ43)

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JH「………クプスは？何でいないの？」

ジョンハンにそう聞かれ、何も言えず俯いた

JH「…何してんだよあいつ。Aが危ない目に遭ってたのに助けに来ないなんてどうかしてる」

「違う、スンチョルは悪くない」

怒ったように言うジョンハンにすかさず否定をする

私のせいでスンチョルのことを誤解しないで欲しかった

JH「どういうこと？」

「……家を出る前にスンチョルから電話来てたんだけどその時に私が酷いこと言ってスンチョルを傷付けたの

だから都合よくスンチョルに助けなんか求めれなくて、呼ばなかった

だから、スンチョルは悪くないよ」

JH「………それでもだろ

明らかに狙われてるAを一人にさせたら何があるか分からないのに、一人にさせるなんて」

宥めるはずが却って顔を歪めさせてしまった

違うんだよ本当に。私が最低なことを言ったからなんだよ

スンチョルは何も悪くない。全部、私のせいなんだ

「…………出逢わない方が幸せだったのかなって、言っちゃったの」

JH「…………………」

「絶対に言っちゃいけない言葉だった

私達の間でそれは何よりもタブーで、暗黙の了解だったのに

口を衝いて、思ってもない言葉が出た」

ビル風が段々強くなってくる

「スンチョルが一番辛いに決まってるのに、被害者ヅラする自分が嫌いで、憎くて仕方ない」

JH「………………A」

「こんな私、スンチョルに嫌われるのも時間の問題だよね」

JH「……………………」

事務所に着いて、中に入ろうと歩き進めようとすると隣のジョンハンの足音が不意に止まった

振り返るとジョンハンは俯いたまま立ち尽くしていて表情が見えない

「？ジョンハ…」

JH「俺なら」

被せるように言葉を発される

ジョンハンがゆっくり顔を上げると、私と視線が交わった

JH「俺ならそんな思いさせないのに」

「……………え」

一際大きな風が吹いて、髪を纏めてる私と違い、下ろしたままのジョンハンの長くて綺麗な髪が靡いた

凛とした双眼が私を見抜く

この間のときのように見透かされているようだ

私がこれから先のことについて不安を感じていること

自分でもどうしようもない自己嫌悪に苛まれてること

スンチョルとの関係に悩んでること、何もかも。