ほとぼり。2 (ページ23)

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SC「………………帰ろっか」

「……え？」

思わず素っ頓狂な声を出すけどスンチョルは特にそれを気にする様子もなく私の手首を掴んで路地裏から抜け出す

いつものように私の歩幅に合わせてくれることはなくてほぼスンチョルの一人歩きのようだ

相変わらず手首は引っ張られているけど如何せん私の歩幅じゃ当然スンチョルのスピードに合わせれる訳なく私は小走りの状態

後ろを振り返って私を気遣う訳でもない

私は私で、こっちを見向きもせずに歩き進めていくスンチョルに追い付こうと必死で。

最近スンチョルの知らない所ばかり見ている

やっぱりもう、あの頃のスンチョルは居ないのかもしれない

二人で帰ってるはずなのに、孤独を感じる

ただでさえ色々と困惑してるのにスンチョルの様子がいつもと違うということも相まって、私は酷くストレスを感じて止まったはずの涙がまた零れ出した

怖かった。知らない人のように感じて

「まってよ、すんちょる」

言葉にすると思ってた以上に震えた情けない声が出た

「おいていかないで」

私を、ひとりにしないで

不安に苛まれて頭がどうにかなりそうだ

今何を考えてるの？今どんな顔をしてるの？

それを知りたい相手がすぐ側に居るのに、知りたいこと何一つ知れない

私の手首を握る手に一瞬力が込められた気がした

「っ、おこってるの？」

SC「当たり前だろ」

すかさずそう言われる

振り返られて漸く合ったスンチョルの目の縁は赤くなっていた

私が場の雰囲気を悪くしたからかな、態度悪かったからかな

さっきの甘い雰囲気と一変してピリつくこの空間に動悸さえしてくる

何かに無理矢理押さえつけられてるみたいに胸が苦しくて俯いた

口の中が乾いてどうしようもない

「っぁ、ご、ごめんなさ、」

捨てられる、捨てられる、捨てられる

恐怖で震えてるのか寒さで震えてるのか分からない

スンチョルは相変わらず黙ったままだ

怖くて仕方ないけど、勇気を出して顔を上げる

SC「…………………」

ただ何も言わず悲しそうな顔で私をジッと見つめているスンチョルと目が合った

SC「……ごめん、怖がらせた

Aがミンギュに触られてるのを見てむしゃくしゃした」

そっと私に近付いて頰を両手で包み込み、優しくキスを落とされる

SC「……本当にごめん」

「………私もごめんね」

だから、そんな顔をしないで