ほとぼり。2 (ページ21)

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無言で涙を拭われる

だけど私の涙はとめどなく溢れ出ていて、いくら拭った所で意味はなかった

MG「俺はAヌナが今何を思って何に泣いてるのか分からない

だから泣くな、とは言わないよ

今泣きたいなら、思う存分泣けばいい」

涙は変わらずぼろぼろと流れている

MG「ただ俺が言いたいのは、

一人で抱え込もうなんて考えないでいい。

もっと周りを頼って」

真剣な眼差しで向けられた言葉は、いつの日か私がスンチョルに向けて言った言葉だった

あのときのスンチョルはこんな気持ちだったのだろうか

大勢の人の前に立つのが苦手で、リーダーシップを取るのが苦手で、照れ屋ですぐに耳が赤くなっていた彼(・)は、死んでしまったのだろうか

こうやってまた私は性懲りも無く今と昔を比べてしまう

スンチョルは私との未来を見てくれるのに、私はスンチョルとの過去ばかり見てしまう

「ひっ……、ぅ……」

頭を優しく撫でられる

ミンギュの大きな手が、またスンチョルを思い出してしまって苦しくなった

私、だめだな

いつも、どんなときも、思い出すのは決まってスンチョルのこと

ずっとスンチョルに囚われて、そのくせ肝心のスンチョルには何もあげれてない

優しいスンチョルは、何もしなくていいって、側に居るだけでいいって、そう言う

私は甘えてたんだ。それでいいはずがないのに

MG「……………………」

「ぅ、………っ」

頬に当たる風がいつもより酷く冷たくて、突き刺さるように痛く感じるのは

頰が涙で濡れているからか、私を夢から醒ますためなのか