ほとぼり。 (ページ49)

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抱き締め合ってしばらくするとスンチョルは落ち着きを取り戻したようだった

SC「…ごめん、ありがとう」

「気にしないで」

精一杯背伸びをして彼の頭を撫でようとすると、それを察して私が撫でやすいように少し屈んでくれた

ふわりと優しく撫でると、嬉しそうに、気持ち良さそうに目を細める

「じゃあ気を付けて帰ってね。おやすみ」

SC「うん、おやすみ。いい夢見て」

私のつむじあたりにチュッと軽くキスを落としてタクシーに戻っていく。私はその様子を見届けながら手を振った

ホテルの中に入りエントランスを通ってユナのいる部屋に戻る

カチャ……

起こさないようにそっと扉を開けるとユナは相変わらず爆睡しているようだった

シャワーを浴びながら今日の出来事を振り返ろうとそのままお風呂場に向かう

一人になって、シャワーのお湯が身体に当たった瞬間。

急に私も今日の事全部が夢に感じてしまって、とてもつもない不安に駆られた

実感が未だ湧いてないっていうのもある

ずっとスンチョルと会えることを望んでたけど、会えることはないと思ってたから。

だからこうして会えて話せて、しかもまた隣に居ることを許されることになるなんて

大きくすれ違ってたことも分かったし、なんかもう色々と情報量がすごくて頭がパンクしそうだ

ペアネックレスをずっとつけてたのは私だけじゃなかったっていうことも

私があげた香水をまだつけてくれてたっていうことも

全てが愛おしくて、胸がきゅうっとなって涙が滲んだ

なんだか今日はずっと泣いてばかりいたから目が腫れそう

ユナにバレたらまずいからちゃんと冷やさなきゃ

滲んだ涙を誤魔化すように顔にシャワーのお湯をかけてからお風呂場から出た