ほとぼり。 (ページ47)

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唇をゆっくりと離されるとそのままおでこを合わせて、ふにゃりと顔を綻ばせながら私を見つめた

SC「かわいい、A」

「…スンチョルもね」

私がそう言うと、かっこいい方が嬉しいな〜なんて言ってまた笑う

これまでの空白の時間を埋めるようにどちらからともなく握られた手は、やけに熱く感じた

恥じらいを紛らわせるために頓馬なことを口にする

「キス、上手くなったね」

SC「誰と比べてんのそれ？？場合によっては怒るけど」

すぐさまムッとした顔になって思わず吹き出す

本当によくころころと表情が変わるなぁ

「過去のスンチョルだよ」

SC「ええ、嫌だ

今の俺だけ見ててよ、許せないその過去の俺！」

「無茶言うよね、ほんと」

懐かしいこの感じがむずがゆくて少し落ち着かないけど、愛おしさが募っていく

そこでふとまだ疑問が残ってたことに気付いた

「ねえ、結局なんで転校したの？」

SC「ああ、俺練習生だったろ

事務所がソウルにあるから実家の大邱からは通えなくてさ

親が俺の知らない間に色々手配してて急遽ソウルにある高校に行かざるを得なくなったんだよ」

罰が悪そうな顔をしながら説明される

そういうことだったのか

SC「俺が高3のときに一回実家に帰る機会があったからそのときAの家にも行ったんだけど、今度は人の気配すらなかった」

「あ、私引っ越したから…」

SC 「うん、だから今日を逃したらもう絶対にないと思ったんだ

Aはライブとか行かないと思ってたから、ペンサイン会にいたとき本当びっくりしたよ」

「ごめん、K-POP興味なくて。

誘われてもいつもは断るのに、自分でもよく分かんないけど今回は行こうかなって思ったの」

SC「あはは、俺にだけ興味持ってくれてたらそれでいいよ

………そっかぁ。運命かもね、俺ら」

噛み締めるように呟いて手にぎゅっと力が込められる

スンチョルの高い体温は変わってないけど私を包む手はあの頃より少し大きくなった気がする

「運命、なのかな」

SC「運命の人とは一回別れるっていうの聞いたことない？

まあ俺は別れたつもりなかったけど、離れ離れになったことには変わりないし」

繋いでいる手を持ち上げて私の手にキスを落とされる

されるがままでいるとスンチョルがいきなり、あっと声を上げた