ほとぼり。 (ページ46)

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口元をおさえたまま背を丸くする私を、いつか私が彼にしてあげてたように彼は私の背を撫でた

「……なんで…どうしてそんなに私に優しくするのよ

意味分かんない、いみ、わかんないよ…」

SC「好きだからだよ。それだけじゃ理由にならない？」

「…………私、何も貴方にあげれてないのに」

SC「もう充分すぎるほど貰ってるよ」

私はずっと貴方を否定して傷付けてたのに

貴方はずっと私を肯定して無償の愛をくれる

何を貰ってるって言うのよ、貰ってるのは私の方じゃん

SC「…………ねえA、今も俺のこと好き？」

「……っ好きだよ、好きで好きで、仕方ないよ」

SC「……うん、俺も好き

俺達言葉が少なすぎただけなんだよ

Aが求めるなら俺は何度だってそれに応える

Aが迷ってたら俺が何度だって手を引くから

もう離れないから、一人になんてしないから。

だから俺達、やり直そう」

ふと後ろを振り返ればすぐにあるような、褪せることない彼との思い出に焦がれて胸が苦しくなった

「…………私なんかで、いいの？」

SC「”なんか”なんて言わないで。Aだからいいんだよ」

困ったように笑う彼

彼はこんなにもひたむきな愛をくれてたのになんで私は気付かなかったんだろうな

私が静かに頷くと彼もまた静かに頷いた

壊れ物を扱うかのようにそっと私に触れて頬を包み込む

SC「……俺の名前、呼んでよ」

「………………スンチョル」

ふわりと微笑まれ影が私に落とされてそれを合図に私が目を瞑った

唇が重なり合って、ちゅ、と可愛らしいリップ音が部屋に響く

触れるだけのキス

それだけで私の胸はいっぱいになる

久しぶりにしたスンチョルとのキスは涙の味がした