ほとぼり。 (ページ45)

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思いもよらなかった言葉に唖然とする私をよそに、彼は顔を歪めたまま続けた

SC「…………言ったんだよ、Aはそんなことする子じゃないって。

ジウのその話を聞いてAの様子がおかしかった理由はこれだったんだってようやく分かって

それでもう俺達に関わらないでくれって言ったんだ」

私が知らなかった真実が次々と明かされていく

SC「そしたらジウが怒って机の上に置いてた俺のスマホを教室の窓から勢いよく投げて。

当たり前だけど、壊れてた

連絡できない状況になったからAの家に行って話をしようと思ってたんだけど、誰も出てこなかった」

だから彼はジウちゃんのことがあったあと私の家に来たんだ。

もしもあのとき、私が臆することなく出ていたら

SC「時系列は逆になるけど、転校については、決まったのはその日の朝だったんだ

会えるのも最後になるかもしれなかったからAの家まで迎えに行ったけど、Aは俺を押し返して一人で走ってっちゃうし」

もしもあのとき、私が彼を押し返さずに抱き締め返していれば

SC「学校は一緒だからAを落ち着かせるためにも今は一人にさせようと思って追いかけなかった

休み時間Aに話しかけようとしたけどAはまた俺を避けるから

ああ俺、本当に嫌われたんだって」

もしもあのとき、私が彼とジウちゃんと話を最後まで聞いていれば

こんなに拗れずに済んでたのかな。

私、今までなんて勘違いをしてたんだろう

たらればばかりの自分の愚かさが目に余って消えてしまいたくなった

全部私の一人芝居だった

彼の言った通り本当に私は自分勝手な奴で、ああ私ってどうしようもない

吐きそうになって口元を手でおさえる

視界がグラグラと揺れた

これがショックのせいなのかアルコールのせいなのかは分からない

ただ虚しかった