ほとぼり。 (ページ42)

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自分の手をぎゅっと握る

「っ、ごめん、なさい」

涙のせいで声が上擦った

だけどそんなの気にしてられなくて

私の頭の中は「早く彼に謝らなきゃ、伝えなきゃ」という思いでいっぱいだった

「すき、すきなの。だからきらいになんてならないで」

言ってることがめちゃくちゃだ

つい今さっきあんなにも彼のことを突っぱねたのに今度は好きって言うなんて

自分でも頭のおかしい女だと思って頭が痛くなる

「酷いこと言って、傷付けてごめんなさい

本当はそんなこと思ってないし私も貴方のことを嫌いになったことは一度もないの

ジウちゃん達のことは、私が貴方に心配かけたくなくて何も言わなかっただけ。だから貴方は何も悪くない」

黙って聞いていた彼は私がそう言うと首を緩く横に振った

SC「……違うよ、俺が悪い

あのとき俺がAの様子がおかしいと思った時点で無理矢理にでも話を聞けば良かったんだ」

なんでなんだろうね、わたしたち

SC「しつこくAに聞いたら嫌われるかもしれないと思ったら怖くて聞けなかった

嫌われたくないっていう自分の身勝手な気持ちを優先したから、結果的にAを深く傷付けることになった」

お互いがお互いのことを大切で好きなはずなのに

どうしてこうも傷付け合うんだろうね

相手を思ってした行動全部が空回って裏目に出て離れ離れになって

かつて彼と”何があっても一緒だよ”なんて約束を交わしていたのに

私達にはその約束を果たすことができないのかな

いや、現にできなかった

だから今こうなってるんでしょ

一緒にいれるだけで良いのに何も難しいことは願ってないのにって、その願いがまず高望みだった

もうこれを機に、いい加減彼との関係に終止符を打とう

彼を解放してあげないと彼が可哀想だ

私が彼を諦めきれなかったのは多分ちゃんとした別れができなかったからだろう

今日なんて正式に別れる絶好のチャンスだ

またギリギリ、心が痛んだ