ほとぼり。 (ページ39)

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その日はいつも以上に彼を避けた

話しかけてこようとしてきたときそれをあからさまに避けると視界の隅に見えた彼は悲しそうだった

それも私は知らないフリをする

帰る頃には気持ちが落ち着いていたから謝りに行こうとしたけど彼は放送で職質室に呼ばれていた

彼が先生との話が終わったらすぐに駆け寄ろうと思って後ろをついていく

でも思ってた以上に周りに人が多かったからそこでは話しかけなかった

教室へ戻る彼の後ろをまたこっそりついていく

早く彼と二人で話がしたかった

朝はあんな態度とってごめんって謝ろうと思ってた

だけど彼の前から彼女が歩いてくるのが見えて、咄嗟に身を隠す。しばらく待って覗き込むと誰もいなかった

ホッとして彼の教室に向かう

学年が上がって彼とは違うクラスになってしまったから

彼の教室からは話し声が聞こえた

また覗き込むと教室にはジウちゃんと彼が二人きり

なんとなく、嫌な感じがした

JW「だからもう別れなって〜

あいつ裏で男漁ってるし、スンチョルくんのことは飾りとか言ってたよ？

あんな酷い女よりさぁ私の方が良くない？」

彼女の言う”あいつ”が私のことを指してるなんてすぐに分かった

男漁りなんてしてないし彼のことを飾りだなんて思ったこともない

お願いだからそんな話信じないで。否定して。

SC「………………………」

そう願ったのに、彼は黙ったままだった

ああもうだめなんだ彼はきっと彼女の言葉を信じた

私があんな態度をとったから

全部私のせい

フラフラと立ち上がって靴箱まで行き、真っ先にゴミ箱から確認する

嫌な癖がついた自分が馬鹿らしかった

ゴミ箱から靴を拾って中に画鋲が入ってないか確認してから靴を履く

彼らに後ろから追い付かれるのが怖くて走って家に帰った

家で布団にくるまっているとインターホンが鳴り響く

［A〜、男の子いるわよ〜あんたの友達じゃない？］

母が部屋の前まで来てそう言ったが、とても出る気にはなれなくて

「知らない人だから無視していいよ」

［…あらそう？じゃあいいけど］

自分で無視していいよって言ったのに罪悪感が湧き出た

本当にこれでいいのかな

家に来たのは言わずもがな彼だろう

出るべきなんだろうけど別れを告げられるのが怖かった

お前と別れてジウと付き合う、なんて言われでもしたら私はいよいよ壊れてしまう

こんなにも私は臆病だ