ほとぼり。 (ページ37)

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この頃から私はもうかなり精神的に参っていて、やること全てが億劫だった

放課後、彼女達が学校から出るのを待つためにトイレの個室に篭っていると不意にクスクスと笑い声が聞こえた

まさか、と思ったときには遅くて

JW「汚いAちゃんのこと綺麗にしてあげるね〜」

瞬間、バシャリと水の音がして途端に全身が冷える感覚がした

笑い声が、こだまする

［あっははは！ジウあんた最高すぎ！］

［うわ、てか水こっちまで来てる汚っ］

［きたなとか言うなって、綺麗の間違いでしょ？笑］

うるさい、何がそんなに面白いのよ

寒くて、辛くて、惨めで泣きそうだ

びしょ濡れになった自分の体をぎゅっと抱きしめる

JW「どうせ私達が帰るのそこで待っとくつもりだったんでしょ？笑

バレバレすぎ〜もっと上手くやりなよ〜笑笑」

うるさいうるさい、彼に対してだけ猫撫で声で話しかけたりしてバレバレなのはどっちだ

泣きたくないのに涙が勝手に出てきて

「……………っぅ」

［えもしかして泣いてる？笑］

［こんくらいで泣くとかキモすぎでしょ！ウケる〜］

何をしても、何もしなくても彼女達の笑い物にされる

(あんな奴ら死んじゃえばいいのにね)

酷い私が言った気がした

彼女達は満足したのか笑いながら出ていく

私もしばらくして個室から出る

服も髪も肌に張り付いてきて気持ち悪いし歩くたびにペタペタと音が鳴る

帰ろうと思って靴箱まで行くけど私の靴がなくて、探すとこから始まった

近くのゴミ箱を漁る

惨めで仕方なくてまた涙が滲んだ

案の定ゴミ箱から靴は出てきて、大人しくそれを履く

「………った！」

鋭い痛みが走って慌てて靴を脱ぐとご丁寧にも靴の中に画鋲が入れられていて

散々だ、もう

「っ、すん、ちょる……」

ぼろぼろと一人で涙をこぼす

もしも彼がここにいたら、彼は優しく私の頭を撫でてくれただろうか

本当は、彼に気付いて欲しかった